天童・女子中学生自殺、報告書見る前に父親他界 「もう少し早ければ…」
山形新聞 2015年9月11日(金)12時30分配信
学校でのいじめに悩んでいた天童市の中学1年の女子生徒=当時(12)=が自殺した問題で、第三者委員会の調査が大詰めを迎えた中、女子生徒の父親(45)が病気のために亡くなったことが10日、分かった。父親は一刻も早い事実の究明を求めていたが、今月末にまとめられる報告書を目にすることはかなわず、遺族は「調査がもう少し早ければ…」と無念さをにじませた。
遺族らによると、父親はがんの闘病中で、9日に死去。女子生徒が自殺した2014年1月の時点で既に体調を崩していたという。
今回の問題では、第三者委の設置をめぐり、市教育委員会が、遺族側の了解を得ずに設置要綱を決めたのに対し、その内容が公平性に欠けるとして、父親は修正を要望。病気を押して学校や市教委に何度も足を運んでいた。
特に、中立性を担保するため、第三者委の事務局を市教委以外に置くことを強く求めたが、かなわずに妥協する結果となった。この際、父親は「早く調査を進める上で、苦渋の決断だ」と悔しがっていた。自身の病気については公にしていなかったが、病状も考慮して早期の調査開始を望んでいた。
遺族は「調査が始まるまでの無駄な時間が無ければ、報告書を目にできたのに…。全国的にいじめ問題がなくならない中で、遺族がこんなに苦しむことは、もうあってほしくない」と言葉を詰まらせた。
大津市のいじめ問題で息子が自殺した父親(50)は、天童市のケースについて遺族側の支援を続けており、10日に同市を訪れ、弔問。その後の取材に対し、「いじめ防止対策推進法が施行されても、調査がスピーディーに始まらない事態は各地で起きている。天童の問題も例に、法の見直しを国に働き掛けたい」と話した。