河内長野19歳暴行死 金額問題ではない…賠償請求に込めた母親の思いとは

河内長野19歳暴行死 金額問題ではない…賠償請求に込めた母親の思いとは
産経新聞 2015年12月3日(木)12時21分配信

 「金額は問題ではない。自分たちがどれだけ重いことをしたのかを分かってほしい」。今年6月、高校時代の同級生だった元少年2人=いずれも(20)、傷害致死罪で起訴=に暴行され亡くなった工藤勇人さん=当時(19)=の母親(56)は産経新聞の取材に応じ、元少年2人に損害賠償請求することを決めた理由をこう語った。

 工藤さんは高校2年のころから約4年間にわたり、2人から執拗な暴行を受け続けた。2人は工藤さんを「動くサンドバッグ」と呼び、ストレス解消のために格闘技の技をかけ、痛がる様子をスマートフォンで撮影。犯行当日も雨の中、約5時間にわたって暴行を続けていた。

 母親は賠償請求について「どれだけ多くの金額をもらっても、息子が帰ってくるわけではない」と、あくまで2人に罪の重さを知ってもらうために決断したことを強調。また、「(2人は)刑事裁判できっと『殺すつもりはなかった』と言い訳をするだろう。見舞金の申し出はあるが、今は受け取る気になれない」と苦しい胸の内も明かした。

 一方で、工藤さんと元少年2人が通っていた私立高校に対しても、不信感が消えないという。

 学校側は2人の逮捕直後、母親らに「いじめは把握していなかった」と説明していた。しかし、工藤さんが担任教諭に実名を挙げ、「暴力をふるわれている」などと打ち明けていたことが後に発覚。担任は注意だけで済ませ、暴行はエスカレートしていた。

 結局、工藤さんは高校3年の11月に中退して通信制高校に編入したが、その後もいじめは止まず、事件は起きた。

 母親は「息子は(学校側に)SOSを出していた。もう少しやり方があったのではないか。裁判で少しでも真相が明らかになることを願っている」と話した。

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