<検定教科書閲覧>「高校」でも謝礼 大阪府立高教員数人に
毎日新聞 2016年5月26日(木)22時9分配信
◇大阪府教委調査に回答
教科書会社が検定中の教科書を教員らに見せていた問題で、大阪府立高校の数人の教員が検定中の教科書を見せられ、謝礼を受け取ったことが府教委の調べで分かった。文部科学省は今年1月と3月に小中学校の教科書について調査結果をまとめたが、高校は対象外だった。
府教委は今年4月、府立高校と支援学校計198校の校長に、養護教諭らを除く全教員(約1万人)の調査を通知した。検定中の教科書の内容を不正に閲覧したり、意見を述べたことへの謝礼として金品を受けたりした事実はないかを確認したところ、少なくとも5人の教員が該当すると回答した。複数の大手教科書会社の名前も挙がったという。
府教委は関係者から詳細な状況を聞き取るなどして6月中に調査結果をまとめ、処分を検討する。また、全校に改めて同種事案がないかを確認する。
一方、文科省の担当者は「まずは府教委が事実関係の把握を進めてほしい」と話し、現時点で高校の調査をする予定はないとした。
文科省によると、小中学校の教科書を巡っては、教科書会社が検定中の教科書を見せて謝礼まで支払っていた教員らは約3500人で、うち約800人が採択に関わったという。全国調査は、教科書代が全額国費で賄われる義務教育の小中学校の教員らを対象にし、現時点で高校の調査をする予定はないという。
高校教員が謝礼を受け取っていたことに、教育出版(東京)の担当者は取材に「驚いている。社内で調べたが問題はなかった」と話した。別の教科書会社の担当者は「小中学校の教科書は教育委員会に採択権限があるため、採択されれば市町村内すべての学校で教科書が使われ、教科書会社のメリットも大きい。しかし、高校は同じ自治体でも学校によって使う教科書が違うので、謝礼を渡すのは信じ難い。いずれ、社内でも調査することになるだろう」と語った。【武内彩、大島英吾、佐々木洋、伊澤拓也】