元先物取引監視委員長、インサイダー疑い 証券監視委が告発へ
産経新聞 2016年10月20日(木)7時55分配信
=横浜市=が、上場企業の幹部から得た未公表の重要情報を基に、この企業の株を大量に買い付けた疑いがあることが19日、証券市場関係者への取材で分かった。証券取引等監視委員会は、金融商品取引法違反(インサイダー取引)の罪で、元教授を検察当局に刑事告発する方針。元教授は先物取引とリスク管理の専門家で、シャーロック・ホームズの研究家としても知られる。
証券市場関係者によると、元教授は、知人である上場企業の幹部から、M&A(企業の合併・買収)に関する情報を入手し、公表前に、この企業の株を大量に買い付けた疑いが持たれている。株価はM&Aの公表後、急騰しており、元教授は高値で売り抜け、1千万円以上の不正な利益を上げていたとみられる。
監視委は、横浜地検に刑事告発する方針で、地検は元教授の立件に向け、捜査を進めているもようだ。元教授はインサイダー取引疑惑について、産経新聞の取材に対し、「プライベートなことは一切お答えしない」と話した。
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インサイダー疑いの元先物取引監視委員長 解説書多数出版の専門家、ホームズ研究でも有名
産経新聞 2016年10月20日(木)7時55分配信
インサイダー取引疑惑が浮上した元教授は大学卒業後、大手商社に入社。ロンドンなどの海外勤務で銅や亜鉛の先物取引を扱い、取締役まで務めた後、平成6年に大学教授に転身した。大学では経営学やリスクマネジメントなどを教える傍ら、先物取引に関する解説書などを多数出版した。
11年には商品先物市場を運営する東京工業品取引所(現東京商品取引所)で、不正な取引を監視する市場取引監視委員会の委員長に就任し、約10年務めたほか、20〜26年には同取引所の取締役も務めた。
22年に起きた大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)事件の際には、リスクマネジメントに詳しい専門家として産経新聞の取材に応じ、「企業や組織にとって不利益な情報は速やかに把握して対処するのが、リスクコントロールの鉄則だ」などと当時の特捜部の対応を批判していた。