いじめ中2重体、同級生と川越市に1億4千万円賠償命令…予見できた

いじめ中2重体、同級生と川越市に1億4千万円賠償命令…予見できた
埼玉新聞 2016年12月22日(木)

 川越市で2012年1月、市立中学2年の男子生徒が同級生の少年3人から暴行されて意識不明の重体になったとして、生徒と母親が市や同級生らに慰謝料など約3億9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、さいたま地裁川越支部であり、野口忠彦裁判長は約1億4千万円の賠償を市と同級生に命じた。

 判決によると、原告側は訴訟の中で「学校側はいじめが継続的に行われていたことを認識していたか、少なくとも認識できる立場にあった。適切な措置を取っていれば、事件は回避できた」と主張。市側は「いじめは認識していなかった」とし、暴行が学校外で起きたことから、「予見は不可能」と主張していた。

 判決で野口裁判長は、男子生徒の対人能力に問題があることを教員らが認識していたことなどから、「特別な配慮をすべきであった」と指摘。嫌がらせ行為などを認識していなかった点は「周囲の生徒に事情を聞くなどの調査をすれば容易に知り得た」として、「からかいや嫌がらせが暴力を伴う事件に発展する事態を予見できた」と結論付けた。

 その上で、男子生徒と同級生らは同じ野球部員のため、「学校だけでなく、部活動終了後帰宅までの間においても、暴力を伴う事件にまで発展する事態を予見できた」として、学校側の責任を認めた。

 判決は、同級生3人の暴行と被害結果の責任についても認めた。

 判決によると、男子生徒は12年1月、同級生3人から学校近くの公園で暴行を受け、心肺停止状態になった。同級生3人は傷害容疑で県警に逮捕され、少年院に送致された。

 原告側の弁護士によると、男子生徒は現在も寝たきりの状態で、施設に入所しているという。

 判決を受け、川合善明市長は「事件の重大さを重く受け止め、被害者の一日も早い回復を祈念しています。今後の対応は判決内容を精査した上で検討していきます」、新保正俊教育長は「このような重大な事件が二度と起こらないよう、引き続きいじめ問題および暴力行為の根絶に向けて尽力していきます」とコメントを発表した。

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