委員入れ替え再調査へ 青森・中2女子自殺 市長が意向
デーリー東北新聞社 2017/4/21(金) 11:26配信
昨年8月、青森市立浪岡中2年の葛西りまさん=当時(13)=がいじめを訴えて自殺した問題で、同市の小野寺晃彦市長は20日の会見で、自殺の背景を調べている市いじめ防止対策審議会(会長・櫛引素夫青森大教授)について、委員を入れ替え、調査をやり直させる方針を明らかにした。審議会に不信感を持つ遺族側に配慮したもので、今後の再調査などによって、原因究明までさらに一定の日数を要する見通しとなった。
問題を巡って遺族側は11日、審議会から報告書原案の説明を受けたが、診断することなくりまさんを「思春期うつ」と認定し、いじめと自殺の因果関係を「解明できない」などとした内容を批判。一部委員の交代と再調査を求める要望書を市側に提出する意向を示していた。
20日の会見で小野寺市長は、委員の入れ替えや再調査の理由を「遺族の思いに寄り添い、意見を待つのではなく、速やかな対応が大切だ」と説明した。また、既に市教委に再調査などの準備に入るよう指示したことを報告した上で、交代人数と人選については「市教委とよく相談して検討する」と述べるにとどめた。
現在の審議会は大学教授や弁護士、医師ら7人で構成。昨年9月から、学校教員や生徒からの聞き取りなど自殺の背景調査に入った。
ただ、調査は長引き、審議会が「いじめがあった」と認定したのは昨年12月。当初は昨年度内の最終報告を目標にしたものの、学校側がいじめを単なる「トラブル」と判断したのが問題―と指摘したのは4月で、いまだ最終報告に至っていない。
さらに遺族側によると、報告書の作成過程で精神科医の委員が、自殺の背景に「思春期うつ」があると指摘。りまさんの父親の剛さん(39)や弁護士は「直接診断せず、根拠も示されていない。納得できない」と反発を強めていた。
委員の交代と再調査方針について剛さんは、取材に「市長の気持ちをうれしく思った」と迅速な対応に謝意を示した上で、「これから(遺族側が)提出する要望書をしっかり読んでもらい、実現してほしい」と話した。
一方、同審議会の櫛引会長は20日夜、小野寺市長が再調査の方針を示したことに関し、「会見で、どのような文脈で『再調査』が言及されたのか、まずは市教委事務局を通じて正確な情報を確認したい」とするコメントを出した。
櫛引会長は、再調査には市教委レベルで第三者機関の審議会が実施するものと、市長部局による調査の2種類があると指摘。「制度面でどのように位置付けされるのか確認したい」としている。