東大教授ら5論文不正 グラフなど捏造・改竄 大学調査
産経新聞 2017/8/2(水) 7:55配信
東京大は1日、分子細胞生物学研究所の渡辺嘉典(よしのり)教授(55)と元助教が平成20〜27年に発表した論文5本に捏造(ねつぞう)と改竄(かいざん)の不正があったとする調査結果を公表した。
報告書によると、不正を行ったのは渡辺氏と当時助教だった丹野悠司氏。実験していないのに行ったかのようなグラフを作成したほか、不適切な写真の掲載など計6件の捏造を認定。画像の比較でコントラストを極端に調整し、部分的に消去するなど計10件の改竄があったとした。
渡辺氏は自ら画像を不適切に加工したほか、所属研究者に対しても、論文のメッセージ性(訴求)を高めるため積極的に加工させる誤った指導・教育が常態化していたとし、渡辺氏の責任は重大と指摘した。
渡辺氏は「論文の結論を覆す意図で行ったものではない。不正認定を受けたことに対し、深く反省する」とのコメントを出した。
不正認定された論文の研究には国から14億8千万円が助成されており、返還も検討する。
論文は、世界的に著名な英ネイチャーや米サイエンスなどの学術誌に掲載済みで、渡辺氏は修正作業を進めている。
大学は過去の論文26本を年内に追加調査して渡辺氏の処分を決定する。同研究所では3年前にも論文不正があり、解体も含めて在り方を検討する。
調査は匿名の告発文を受け昨年8月に開始。医学系5教授と渡辺氏が関わる論文計22本を調べたが、ほかに不正はなかったとした。