<仙台館中自殺>父親、自助団体設立し遺族支援へ
河北新報 2017/9/28(木) 12:05配信
仙台市泉区館中1年の男子生徒=当時(12)=が2014年9月、いじめを苦に自殺して27日で3年を迎えた。いじめ根絶を訴える遺族の願いは届かず、16年2月に泉区南中山中2年の男子生徒が、今年4月に青葉区折立中2年の男子生徒がいじめ被害を訴え、相次いで命を絶った。館中の父親は「悲劇を繰り返させない」と誓い、東北各地のいじめ自死遺族団体を立ち上げるなど精力的に活動している。
「君、君達を忘れない 四人目の無きよう 合掌」。館中に隣接する公園の献花台に27日朝、住民が書いたとみられる紙が張られ、花束や食べ物が供えられていた。
館中生徒の自殺から約2年7カ月の間に、仙台市の中学生3人が自殺するという異常事態。折立中では同級生のいじめに加え、教諭2人による体罰も発覚した。
「3年たっても教育界は変わろうとせず、むなしさすら感じる。このままでは必ず4人目の犠牲者が出る」と焦りを募らせる。
折立中生徒の自殺原因の究明に当たる第三者委員会のいじめ問題専門委員会が今月11日、初会合を開き、遺族が推薦する臨時委員3人の参加が決まった。
遺族推薦の委員は市教委の第三者委で初めて。委員構成について、事前に折立中の遺族に助言したのが館中の父親だった。「納得できる調査がなされなければ、遺族は何重にも苦しむことになる。行政が変わらないため、自ら動くしかなかった」と振り返る。
館中の父親が中心となって進めてきた東北のいじめ自死遺族による自助団体が近く、活動を本格化させる。10月中旬にホームページを開設し、自らの経験を踏まえていじめについてアドバイスするという。
父親が市と加害生徒8人に約5500万円の損害賠償を求めた訴訟は、仙台地裁で審理が続く。「いまだに加害生徒から反省の言葉はない。市教委が責任の所在を明らかにし、謝罪してくれれば裁判を起こすことはなかった」と吐露する。
息子の自殺直後は絶望して後追い自殺を考えたり、インターネットの掲示板に遺族を中傷する書き込みを見つけ、心を病んだりした時期もあった。
「子どもを亡くした悔しさと、いじめを許せない気持ちが勝り、何とか今日まで過ごしてきた。何年かかろうが、いじめを撲滅するまで闘う」
息子の死から3年、父親は決意を新たにしている。