わいせつ、詐欺、暴行・・・相次ぐ茨城県内教員不祥事
茨城新聞クロスアイ 2017/10/8(日) 12:25配信
わいせつな行為をして逮捕されるなど、茨城県内で教職員の不祥事が相次いでいる。私立校を含め逮捕事件が先月下旬だけで4件もあり事態は深刻である。前年度も不祥事が絶えず、県教委は対策の強化を図っているさなかであり、それに水を差す格好だ。真面目に働いている大半の教員にとってもつらい結果である。子どもを預かり、教えを説く立場。教員も人の子とは言っても法に触れるような犯罪行為はあってはならない。まずは個々が自覚を持って自らを律し、働く環境、コミュニケーション、問題行動など改善点があれば学校や教委が早急に事前対応するなど、改めて防止策の徹底を図ってもらいたい。
先月、教員が警察に逮捕された事件は、▽▽▽-など。いずれも逮捕時の容疑で、4人は男性教諭や講師、うち1人は私立校教諭。容疑を否認する教員もいたが、逮捕されたという事態だけで子どもや保護者に与える影響、信頼喪失は深刻である。
こうした不祥事は今年に限ったことではない。以前から県教委では相次ぐ事態を深刻に受け止めており、さまざまな対策を行ってきた。研修や啓発資料の配布、教職員からコンプライアンス確保のアイディアを募ったりしてきた。弁護士や大学教員ら外部専門家を加え、2015年1月にはコンプライアンス推進委員会を設置し、法令順守の取り組みや改善策を検討してきた。各公立校にも同推進委を設置している。
それでも思うように改善されないのが実情だ。県教委のまとめによると、教職員の懲戒処分件数は昨年度21件に上り、前年度より8件増、過去10年では最多となった。内容はわいせつ8件、体罰5件、飲酒運転2件、その他6件。小野寺俊県教育長は今年3月末の県立学校長会議で、不祥事が絶えない現状を「深刻かつ危機的な状況」と指摘し、「教員一人一人の力を結集して学校の組織力を強化して、一丸で課題解決に取り組むことが必要」と呼び掛けた。
不祥事の背景にはそれぞれ個々の事情、動機があるだろう。その対策についても、専門家らを交えてさまざまな角度から議論がなされ、取り組みが図られてきたはずだ。不祥事を起こす個人の資質と言ってしまえばそれまでだが、そこに至る前の防波堤は必要だ。
教員を巡っては全国的に長時間労働が問題化している。授業時間の増加や部活動などで時間外労働、休日出勤を余儀なくされ、過労死ラインとされる月80時間の時間外労働をしている教員が少なくないことが文部科学省の勤務実態調査で明らかになっている。こうした厳しい労働環境は子どもへの教育に影響を及ぼすばかりか、自分のことだけで精いっぱいとなり、ストレスの増大、教員間のコミュニケーション不足、問題対応の遅れにつながりかねない。不祥事を生む背景にも成り得る。
国も教員の働き方改革に取り組み始めているが、教員がゆとりをもって教育に取り組める環境づくりは欠かせない。