<淫行容疑>都立英語助手を逮捕 6年前にも類似事件
毎日新聞 2017/10/19(木) 22:42配信
16歳の女子高生にわいせつな行為をしたとして、今月上旬、東京都立高校の外国語指導助手(ALT)の男が、警視庁に都青少年健全育成条例違反容疑で逮捕された。この男が6年前にも同様の事件を起こして逮捕されていたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。男は当時も別の都立高校で勤務しており、都教委が事件を把握していなかったため、ALTとして働き続けていたとみられる。
警視庁原宿署によると、男は米国籍のジェイソン・アリソン容疑者(44)=渋谷区神宮前。逮捕容疑は6月27日午後、六本木の路上で声をかけた高校2年の女子生徒(16)を自宅マンションに連れ込み、18歳未満と知りながら、わいせつな行為をしたとしている。「16歳とは知らなかった」と否認しているという。女子生徒は同月29日に同署に被害を訴え、事件が発覚した。
捜査関係者によると、アリソン容疑者は2011年4月、神奈川県内の中学3年の女子生徒(当時15歳)にわいせつな行為をしたとして、同県警に都の同条例違反容疑で逮捕されていた。この件では不起訴になったものの、別の類似事案で再逮捕・略式起訴され、罰金刑の有罪判決を受けた。アリソン容疑者は当時、現在とは別の都立高校で勤務していた。
都教委によると、ALTの雇用契約は個人と各校で結ばれる。刑事事件を起こして起訴された場合は免職処分を受け、その後採用されることはない。
アリソン容疑者がALTを続けていた理由について、都教委高等学校教育指導課は取材に「6年前の事件のことは把握できておらず、処分を下したかどうかも分からない」と回答。採用時期や勤務状況についても「個人情報」を理由に明かさなかった。
教員のわいせつ事件を巡っては、過去の処分歴が都道府県教委の間で共有されず、他県で再び教員として採用されていたことが問題化した。これを受け、文部科学省は今年8月、処分歴を共有できるよう「教員免許管理システム」を大幅に改善する方針を決めたが、ALTは対象外になっているという。
20年には、小学3年生から英語が必修化されるため、全国の学校がALTの拡充を進めている。【安藤いく子】
◇チェック体制を
尾木直樹・法政大特任教授の話 子供へのわいせつ事件は断じて許せない行為。教員の処分歴を全国で共有する方針が文科省から出たばかりで、ALTについても過去にわいせつ事件を起こした人を採用しないシステムやチェック体制を整えなければならない。わいせつ事件だけでも警察から教育委員会に通報するシステムを作るべきだ。