<頭髪損害賠償訴訟>地毛の色でない、と学校判断し指導

<頭髪損害賠償訴訟>地毛の色でない、と学校判断し指導
毎日新聞 2017/11/17(金) 22:35配信

 生まれつき茶色い頭髪を学校から黒く染めるよう強要されたとして、大阪府立懐風館高3年の女子生徒(18)が府に損害賠償を求めた訴訟を巡り、府教委は17日、学校が生徒の髪の色が地毛ではないと判断して指導したことを明らかにした。学校側は「生徒の髪の根元や頭頂部が全体の髪の色と比べて黒かった」と説明しているという。

 同校は校則で髪の毛の染色や脱色を禁止。染色などが分かれば元に戻すよう指導している。入学前の2015年3月末の登校日に、教諭3人が女子生徒の頭髪を調べ、髪の色が地毛でないと判断。他16人の新入生と一緒に指導したという。

 また府教委は、学校が今年4月から、不登校になった女子生徒の名前を名簿から削除したことは「許されるものではない」として同校に是正指導した。学校側は取材に「他の生徒から詮索されないようにと考え名簿に載せなかった。再び登校してきた際に元に戻すつもりだった」と釈明した。

 向井正博教育長は「結果的に訴訟に発展し、話し合いで解決できなかったのは申し訳ない」と述べた。府教委は頭髪指導に関する調査を全府立高校を対象に実施し、結果は公表する方針。校則についても改めて内容の点検を各校に指示する。

 一方、訴訟で生徒の代理人を務める弁護士は、毎日新聞の取材に府教委の説明を否定した。昨年9月以降、学校側との交渉で「何のために黒く染めさせているのか」と尋ね、地毛が茶色でも一度黒く染めたらそのままにするよう指導している、と説明があったという。高校入学時に教諭3人が髪の生え際を確認したという話は一度も聞いたことがないといい、「訴訟のために話を後から作ったのではないか」と批判した。

 生徒は中学時代も茶色の地毛を黒く染めるよう強要されたが、自ら染色や脱色をしたことはないと主張している。【岡崎英遠、藤顕一郎、遠藤浩二】

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