わいせつ話題に「顔で損」の悪口…ツイッターで生徒なりすまし教師はなぜ“脱線・暴走”したのか

わいせつ話題に「顔で損」の悪口…ツイッターで生徒なりすまし教師はなぜ“脱線・暴走”したのか
産経新聞 2017/12/30(土) 15:25配信

 埼玉県北本市の市立中学校でが匿名の男子生徒になりすまし、「顔で損してるよな」「あの体形、あの嫌われようでよく学校来れると思う」などの書き込みをしていた問題。生徒に会員制交流サイト(SNS)の指導を行う立場の教員自らが、SNSで起こしてしまったトラブルとして話題になった。なぜ、教師の立場を忘れたツイートを続けたのか−。

 ■生徒と交際、盗撮、薬物…教員の問題絶えず

 同市教委によると、男性教員は問題発覚後、欠勤を続けている。事情聴取を既にほぼ終え、現在は処分を待つ身だ。動機としては「中学生とツイッターでやり取りし、考え方を知りたかった」「生徒のフォロワーを増やしたかった」の2つを挙げているという。

 同県内では今年、教員が、生徒との交際▽セクハラ▽盗撮▽体罰▽違法薬物所持・密輸−といった問題を相次いで起こしている。これらの問題につながる可能性を考慮し、同市教委は動機について入念に調べたというが、結局、この2つしかなかったという。

 「幼稚で浅はかな感覚だったんだなという印象を受けた」。同市教委のある職員は男性教員の軽率な行動についてこう語った。男性教員が20代だったことから、「若い世代はSNSが身近で、われわれの感覚と違うところがある」と指摘。対策に頭を痛めていた。

 男性教員はこの中学校に赴任して1年目だったこともあり、生徒らからは「あまり印象がない」という声も。学校生活で生徒となじめない分、SNSを通して「考えを知りたかった」のだろうか。

 いずれにしても、問題の影響で欠席したり、心身に支障を来したりしている生徒はいないという。

 ■生徒会選挙を事前ツイート

 男性教員のツイッターでは、「今日の演説上手い人と下手な人がいたな」と生徒会選挙の感想を投稿したり、体育祭の日に「なんだよ雨じゃないのかよ」と投稿したりと、生徒が考えそうなことを思いついてはつぶやいていた。時にはわいせつな話題もツイートしており、ツイッター上では、教師であるという立場を完全に忘れ、“脱線”“暴走”してしまった。

 9月中旬ごろから始まったなりすましツイートをするアカウントは、同校生徒らのアカウントをフォローして回っていたため、一部生徒の間で「あれは誰なんだろう」と話題になっていった。そんな中で「生徒会長は♀、副会長は1年生らしい」など公表される前に生徒会選挙の結果の一部をツイートするなど、次第になりすますことよりも興味をひくことの比重が増していった。

 「あのアカウントは選挙管理委員の生徒か先生ではないか」

 このころから徐々にアカウントの主が特定されていくことになる。

 わいせつな話題に続いて、一部の生徒間で話していた内容や女子生徒の悪口をツイートするなど暴走していった。その結果、11月下旬に中傷された女子生徒を含む一部の生徒らに特定されて問い詰められ、その場では否定したものの翌日から学校に来られなくなった。その後、学校や市教委の調査に対してはすぐに事実を認めている。

 ■24時間365日、教育公務員であることを忘れずに

 この問題を受け、同市教委は教職員へのSNS教育の実施を決めた。12月25日には市内の20〜30代前半の若手教職員向けにSNSの使い方などについて、グループワークを交えた研修を行った。

 同市教委は「SNSの使い方についてはどこまでが良くてどこまでが悪いかという線引きが難しい部分がある。ただ言えることは、24時間365日、教育公務員であるということを忘れずに行動すべきだ」として、25日の研修では、SNSの使用に加え、県内で起こった教職員の不祥事も踏まえて服務規定などについても指導した。

 今後は市内の若手教職員のSNS使用状況を調査したり、外部講師を招いた研修を行ったりして、再発防止に向けた取り組みを進めていく方針だという。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする