中国で「#MeToo」 北京大教授も20年前のレイプで解任
NEWS ポストセブン 2018/4/21(土) 7:00配信
中国の名門中の名門である北京大学の教授が20年前のレイプ事件の責任を追及され、他の2校の大学教授の座も追われるという事実が明らかになった。レイプ被害を受けた女子大学生は20年前の1998年、21歳の若さで自殺しているが、当時の同級生や両親らがこれまで何回にもわたって繰り返し、この教授のレイプ事件を告発し続けてきたことが、ようやく実を結んだ。
これは米ハリウッドに端を発した「#Metoo(ミー・トゥー)」運動が中国も波及してきた形で、レイプ事件の責任を問われて辞職に追い込まれた中国内の大学教授は今回で2人目。英BBC放送が伝えた。
この大学教授は瀋陽氏(62)で、1998年当時、北京大学で教鞭をとっていたが、教え子だった女子学生の高さんに男女の関係を迫って、レイプしたあとも、複数回にわたって、高さんと関係を持っていたという。
ところが、高さんが1998年、瀋氏との関係を苦にして自殺。当時の同級生らが大学当局や警察に告発したことで、警察当局が捜査に乗り出したが、「死人に口なし」で、レイプ事件は立証できなかった。
しかし、事態を重く見た北京大学当局は瀋氏が学生らに告発されたことから、行政処分を下したという。その後も瀋氏は北京大学に居座り、2011年に北京大学を離れて、上海師範大学と南京大学で教授として教鞭をとっていたという。
その後も、高さんの両親や当時の同級生らが瀋氏の行為をネット上などで告発し続けてきたものの、瀋氏は高さんへのレイプを否定しており、社会的な責任を問われることはなかった。
状況が変わったのは、昨年10月、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ疑惑報道をきっかけに、「#MeToo(私も)」とセクハラ被害に声を上げる人たちの輪が世界中に拡大したことで、中国でも性的事件の被害者らが注目されるようになってきたことだ。
高さんのレイプ事件やその後の自殺がネット上で拡散し、瀋氏への批判が高まってきていたが、ついに瀋氏が教鞭をとっていた南京大学と上海師範大学が4月に入って「声明」を発表し、高さんの事件に触れたうえで、瀋氏の責任に言及し、教授を解任することを明らかにした。
これに対して、高さんの両親や当時の同級生は「ようやく、高さんの無念が晴れたのではないか」などとコメントしている。
だが、ネット上では「20年も社会的に責任をとらなかったことは信じられない」「中国の教育者の程度の低さ露呈している」「中国の制度では、学生の権利がないがしろにされており、党や教職員が権力の上に胡坐をかいている」などの批判の声が出ている。