<山形大パワハラ>センター長の侮辱行為など認定 学長「早く把握するべきだったと反省」

<山形大パワハラ>センター長の侮辱行為など認定 学長「早く把握するべきだったと反省」
河北新報 2018/6/22(金) 10:42配信

 山形県飯豊町の山形大xEV飯豊研究センターの職員が、センター長を務める50代男性教授からパワーハラスメントを受けたとして相次いで退職した問題で21日、同大特別対策委員会がセンター長の行為をパワハラと認定していたことが分かった。小山清人学長が同日の定例記者会見で明らかにした。大学は7月末をめどにセンター長を処分する方針。

 特別対策委が認定したパワハラは(1)「ボケが!!」「役立たず」などと記した書き置きを机に残した(2)外部の人の前で「偏差値40」「小学生以下」などと侮辱した(3)事務連絡メールで「無能で非常識なお馬鹿(ばか)さんへ」と記して送信した−など少なくとも7件の行為。

 職員3人以上が対象となったとして、「責任者の地位を背景に職員に精神的苦痛を与え、職場環境を悪化させた」と結論付けた。

 特別対策委は「懲戒処分が相当」との意見を付け、20日までに小山学長に調査報告書を提出した。

 大学は行為があった時期を明らかにしていないが、センター職員の相談に応じてきた同大職員組合などによると、2016年9月ごろとみられる。

 センター長によるパワハラ疑惑は、河北新報が昨年10月5日に報じて発覚した。小山学長は同日の記者会見で「パワハラがあれば処分している。パワハラとしては把握していない」と否定。その後、職員組合が書き置きなどの画像を公表したのを受け、大学は同11月、複数の学外の専門家を含む特別対策委を設置、関係者への聞き取り調査を進めていた。

 小山学長は「関係職員の皆さまに深くおわび申し上げる。大学の信用を失墜させたことは誠に遺憾」と謝罪。「もっと早く把握するべきだったと反省している」と対応の遅れを認めた。

 一方、職員が退職した原因については「自己都合だと認識している」として、パワハラとの因果関係を否定した。

[山形大xEV飯豊研究センター]山形大と山形県飯豊町が整備したリチウムイオン電池の研究開発拠点。「xEV」は電動輸送機器の総称で、自動車などに使われる電池の試作工場の機能も持つ。開所は2016年5月。自動車、ロボット関連企業など約50社が研究開発に加わっている。

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<山形大パワハラ>遅れた調査、明かされぬ調査委構成…後手に回った大学側の対応に批判
河北新報 2018/6/22(金) 10:55配信

 山形大xEV飯豊研究センターを舞台にしたパワハラ行為が、表面化から半年以上かかって認定された。職員組合や教員OBからは、終始後手に回った大学の対応を批判する声が上がった。

 職員組合は「組合が問題視した行為はほぼ全てパワハラと認定された」との見解を表明。昨年5月と7月の2度、大学側に実態を把握しているか否かを問う質問書を提出していることから、「より迅速な調査が可能だった」との不満も示した。

 特別対策委の設置以降、小山清人学長は「公明正大な調査」を理由に、委員の構成や調査の進め方を一切明らかにしなかった。当初は「1月中旬」としていた調査終了時期も大幅に過ぎていた。

 元同大工学部教授の高橋幸司鶴岡高専校長は「大学は中間報告ぐらいすべきだった。時間がかかればかかるほど大学の評判は悪くなり、事案の風化につながる」と指摘。「当事者の処分だけで終わらせることなく、組織体質の見直しが必要だ」と注文した。

 パワハラの現場となった飯豊研究センターは、山形大が誇る最先端のリチウムイオン電池研究拠点。大学、企業などから膨大な資金が投入されている。

 広島大ハラスメント相談室の横山美栄子教授(社会学)は「ハラスメントが生じやすい『ブラックラボ』は研究不正を招く傾向にある。質の高い研究には、責任者のマネジメント能力が不可欠」と話した。

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