<山形大パワハラ>センター長、減給1万円の処分 「あり得ない軽さだ」職員組合質問書提出へ

<山形大パワハラ>センター長、減給1万円の処分 「あり得ない軽さだ」職員組合質問書提出へ
河北新報 2018/7/24(火) 9:25配信

 山形大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)のセンター長による職員へのパワハラ問題で、同大は23日、センター長の50代男性教授を1日分給与半減の懲戒処分にしたと発表した。これまでの減給処分では最も軽く、減給額は約1万円とみられる。同大職員組合は「あり得ない軽さだ」と処分決定の根拠を疑問視し、近く質問書を提出する。

 同大総務部によると、処分の理由は2016年4月〜17年2月、職員4人に対して(1)「ボケが!!」「役立たず」などと記した書き置きを机に残した(2)外部の人の前で「偏差値40」「小学生以下」などと侮辱した(3)事務連絡メールで「無能で非常識なお馬鹿(ばか)さんへ」と記した−など7件のパワハラ行為。処分の重さは、過去の事例も参考に役員会で決めたという。

 処分事由は「教員として品格と適格性を欠くハラスメント行為とそれらの行為により本学の名誉と信用を傷つけたため」とされ、職員の名誉と人格を傷つけたことは明記されなかった。

 職員組合の仁科辰夫執行委員長は「あり得ないほど軽い処分で到底、受け入れられない。処分決定の根拠について質問書を早期に出す」と強調した。

 同大の矢作清総務部長は「減給幅は労働基準法が定める上限。法律と学内規程に基づき、適正に処分した」と説明した。

 しかし、労基法は減給について、1日分給与からの減額は2分の1までと定める一方で、月額給与からの減額上限は10分の1と規定。同大は月額給与からの減給を選択しなかった理由を説明していない。

 同大は過去のハラスメント事案で、学生に肩をもませたり、性的な発言をしたりした男性教員計5人を減給10分の1(3カ月)から停職6カ月の処分としている。

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<山形大パワハラ>減給1万円 学生 保護者「軽すぎ」「前例になる」懸念の声
河北新報 2018/7/25(水) 10:42配信

 山形大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)のパワーハラスメント問題で、同大が加害側のセンター長の50代男性教授を1日分給与半減(減給額約1万円)とした処分について24日、学生、保護者から「軽すぎる」「再発防止にならない」と批判が相次ぎ、専門家には「久しぶりに聞いた」と驚きが広がった。パワハラでの懲戒処分は同大初となるだけに「前例となっていいのか」と疑問視する声もあった。

 「処分が軽く、同じことが繰り返されかねない」と心配するのは、人文社会科学部1年の男子学生(20)。工学部2年の女子学生(19)は「ハラスメント事案全般で、大学は極力隠そうとしている印象がある。父からも被害に遭ったら黙っていないで相談するよう言われている」と話した。

 センターは、成長分野のリチウムイオン電池の研究開発拠点。工学部1年男子学生の50代の父親は「大学は、研究をリードしてきたセンター長を手放したくないのでは」と推測した。

 「1日分給与半減の処分は最近、聞いたことがない」。広島大ハラスメント相談室の横山美栄子教授(社会学)は首をかしげ、「被害者が退職や心身の不調を訴えるまでになった場合はもっと重い処分となるのが普通。大学が踏み込んだ事実認定を行っていない印象だ」と話した。

 教職員間のパワハラによる懲戒処分は、教員から学生、大学院生へのアカデミックハラスメント(アカハラ)やセクシュアルハラスメント(セクハラ)に比べかなり少ない。

 同大では一昨年までの過去10年間で女子学生に肩をもませたり、性的な発言をしたりしたセクハラ行為などを理由に男性教員計5人を減給10分の1(3カ月)〜停職6カ月としている。

 複数のパワハラ訴訟を受任した経験がある長沼拓弁護士(仙台弁護士会)は「人格権の侵害という点でパワハラはセクハラと同じ類型」と説明。「今回の処分が前例になる影響も国立大学として考慮すべきだ」と指摘した。

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