(朝鮮日報日本語版) 沈錫希選手「高校生の時からコーチに性的暴行受けた」
朝鮮日報日本語版 2019/1/9(水) 9:02配信
韓国女子ショートトラック代表の沈錫希(シム・ソクヒ)選手(21)が、代表チームのチョ・ジェボム元コーチから未成年の17歳だった2014年から常習的な性的暴行を受けていたとして、昨年12月17日に京畿南部地方警察庁に告訴していたことが8日までに分かった。警察は現在、チョ元コーチの携帯電話、タブレット端末などを押収し、分析作業を進めている。
沈選手側のイム・サンヒョク弁護士は「女性弁護士が昨年12月、沈選手と1対1で面談した結果、チョ元コーチが14年から無差別的な暴行と暴言、脅迫などによる性的暴行犯罪を常習的に犯していたという証言があった」と明かした。現在沈選手は外部との接触を断っている状態だ。沈選手は弁護士を通じ、「これからは韓国のスポーツ界でこうした事件が絶対に起きないことを深く望んでいる」とコメントした。
沈選手によると、チョ元コーチは2014年から平昌冬季五輪を1カ月後に控えた昨年1月までの約4年間、常習的に性的暴行に及んでいたという。性的暴行の現場は沈選手の母校である韓国体育大にスケートリンクの指導者用ロッカールーム、泰陵選手村(ソウル市)と鎮川選手村(忠清北道)のスケートリンクのロッカールームなど国が管理している施設だった。沈選手はこれまで隠してきた理由について、「チョ元コーチから犯行のたびに『競技を続けたくないのか』と脅され、無差別的な暴行を受けていたからだ」と説明した。
沈選手は初等学校(小学校)在学中にチョ元コーチの目に留まり、スケートを始めた。高校2年だった2014年にソチ五輪に出場し、メダル3個(3000メートルリレーで金、1500メートルで銀、1000メートルで銅)を獲得し、韓国ショートトラック界の看板的存在に浮上した。沈選手は平昌五輪を1カ月後に控えた昨年1月、チョ元コーチに暴行を受け、選手村を脱け出したこともあった。
真相調査に乗り出した大韓氷上競技連盟は、昨年1月にスポーツ公正委員会(賞罰委員会)を開き、チョ元コーチを永久除名した。代表チームに復帰した沈選手は平昌五輪で500メートル、1000メートル、1500メートルではメダル獲得がならなかったが、3000メートルリレーで五輪2連覇を達成した。
沈選手は昨年6月、チョ元コーチを常習的な傷害などの疑いで告訴した。チョ元コーチは沈選手に常習的に暴行を加えたとして、昨年9月に一審で懲役10月の判決を受け、現在収監されている。今月14日には控訴審の判決公判が予定されている。チョ元コーチの弁護士は、SBSテレビの取材に対し、「性的暴行の疑いは話にならない」と事実関係を否定した。
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(朝鮮日報日本語版) 性的暴行:沈錫希選手以外にも2人が被害
朝鮮日報日本語版 2019/1/11(金) 10:01配信
「若き氷上人連帯」の代表で、ショートトラック韓国代表チームのコーチを歴任したヨ・ジュンヒョン氏(35)は、沈錫希(シム・ソクヒ)選手(21)が明かしたチョ・ジェボム元代表チームコーチによる性的暴行疑惑に関連し、「今回の事件以外にも他の被害事実を確認している」と述べた。
ヨ代表は10日、ソウル市内で他のスポーツ団体、市民団体と共同記者会見を開き、「スケート界で他の種目に比べて暴力がまん延していたとは感じないが、スケートは特定人物の権力が大きく、(問題の)公論化が難しかった」と述べた上で、「若き氷上人連帯が把握した結果、5−6件の暴力・性的暴力疑惑があり、2件は被害者を通じ、わいせつ行為があったことを確認した」と説明した。被害を受けた選手には未成年者もいるという。若き氷上人連帯は近く記者会見などを通じ、事実関係を公表することを検討している。
若き氷上人連帯が把握した暴力の加害者には特定大学出身の指導者が含まれているという。2014年のソチ冬季五輪を控えた時期に女子選手を自分の住居に呼び、わいせつ行為を行った疑いで職務停止処分を受けて辞任した元代表チーム設備担当コーチA氏について、別の疑惑も指摘された。A氏の後任で代表チームコーチとして合流した人物が出身校が同じチョ元コーチだ。A氏は11年から3年間、違法なスポーツ賭博に金銭を賭けたとして、16年に在宅起訴され、大韓スケート連盟から指導者資格の停止処分を受けた。しかし、17年のスポーツ団体統合推進過程で復権し、現在は京畿道でショートトラックの講師として活動している。チョ元コーチは、沈選手の携帯電話を持ち歩くほど、選手の私生活を規制していたという。沈選手の元チームメイトは「チョ元コーチは他の選手がおかしいと感じるほど沈選手に執着していたようだ」と証言した。
「派閥」を形成した大学出身コーチが暴言、暴行によって母校の後輩選手を叱咤(しった)するのは、他大学との競争に勝つためだったという。傷害罪で有罪となり服役中のチョ元コーチは昨年、国政監査の際に与党の国会議員に送った手紙で、「母校の教授が沈錫希を限界まで追い込むよう、自分に指示した。教授には暴言を吐かれ、殴られたこともあった」と主張した。
10日の記者会見に出席した西江大のチョン・ヨンチョル教授(スポーツ心理学)は「沈選手が五輪メダリストでなかったならば、今回の事件はうやむやにされたかもしれない。過去にも他の種目の多くの選手が被害事実を告白した」と述べた。13年にチョン教授の指導で書かれた「引退女子ハンドボール選手の生活に関するナラティブ(narrative)研究」という論文には、関連する証言がある。指導者が自分の部屋に選手を呼び、マッサージをさせたり、選手の顔や口に舌を当てたりして接触する場面や性的暴行があったとする内容だ。チョン教授は「被害選手が刑事告発するならば、資料を司法機関に引き渡す」と述べた。