近大准教授が著作権法違反の疑い「教科書5冊で無断転載」
文春オンライン 2019/6/26(水) 16:00配信
近畿大学法学部の男性准教授・A氏が、民法などの教科書5冊で別の文献から無断転載を行い、著作権法違反の疑いがあることが「週刊文春」の取材で分かった。
1982年生まれで、“近大法学部のホープ”と呼ばれてきたA氏。無断転載に関して6月14日付で神田宏法学部長宛に提出した「顛末書」によれば、A氏の講義に指定されている学内向け教科書『日本社会システム論』について〈50頁程度の無断転載をしている事実に気付き〉、大学側に自己申告したという。
別の学内向け教科書『親族相続法』にも、自身が一部執筆に関わった『ロードマップ民法(5)親族・相続』から
〈12箇所40頁程度(うち、6頁は私が執筆担当した部分)にのぼる同一記述があり、引用を超える無断転載がある〉
と申告した。
さらにA氏が一部執筆した学外向け教科書『ロードマップ民法(2)物権』など3冊についても、〈引用の範囲を超える無断転載があると認めざるを得ない〉と申告している。
准教授に電話で話を聞いた。
――なぜ盗用を。
「それは……公にされると困るので答えられません」
――大学の調査結果待ちか。
「私は処分の結果を待ちますので。ご迷惑をおかけした人には謝罪と対応をしていきます。私としては(大学に)残れるのであれば、残りたいと思っています」
近畿大学広報室に事実関係を尋ねたところ、以下のように回答した。
「顛末書に記載されている内容に関しては調査中のため、現段階ではお答えできません。(2冊の学内向け教科書は)費用は学費に含まれております」
研究不正に詳しい近畿大学医学部非常勤講師の榎木英介氏はこう指摘する。
「数頁の盗用でも著作権法違反にあたるが、50頁ともなれば、意識が低すぎると言わざるを得ません」
研究者倫理の問題が社会的な関心事となる中、近畿大学の今後の対応が注目される。
6月27日(木)発売の「週刊文春」では、無断転載の詳しい中身や、問題が発覚した経緯、顛末書に記されたA氏の弁明などについて取り上げている。