送迎を強要、足踏みつけ、セクハラ… 加害の4人は有給休暇 教員間暴力、神戸市教委が会見
神戸新聞NEXT 2019/10/4(金) 17:56配信
神戸市須磨区の市立東須磨小学校の20代男性教員が、昨年以降、同僚の先輩教員4人からいじめ行為を受けていた問題で、神戸市教育委員会が4日、市役所で会見を開いた。
主なやりとりは次の通り。
「2018年ごろから東須磨小学校の教員間において、身体的な暴力や暴言、性的ないやがらせなどを内容とするハラスメント行為が行われていたことが判明した。児童・保護者をはじめとする市民の皆さまの信頼を著しく失墜する行為で、心からおわび申し上げる。加害者は複数名で、ハラスメント行為の態様に個人差はあるものの、学級担任など当該校の業務から外すことにする。学校運営に支障を来さないよう、10月7日から新しい教員を配置する」
−ハラスメント行為の具体的な中身について。
「女性教員に対して性的な内容を含むメッセージを送信するよう強制する。携帯電話にいたずらし、ロックをかけて使えなくする。被害教員所有の車の上に乗る。車を蹴る。車内で故意に飲み物をこぼす。人格を否定するような呼称で呼び掛ける。拡大コピー用紙の芯でお尻を殴る。背中を肘でグリグリと押す。足を踏みつける。それから、他の教員へのハラスメント行為として、人格を否定するような呼称で呼び掛ける行為や、女性教員へのセクハラ行為があった」
−激辛カレーを食べさせたり、目にこすりつけたりすることもあった?
「激辛カレーの件については現在調査中。無理やり食べさせられた、体にカレーを付けられたという訴えは聞いている」
−「他の教員」というのは何人?
「現在、把握している被害者は、20代の男性教員以外に3人。全て20代で、男性1人、女性2人」
−他の教員へのハラスメントを具体的に。
「男性教員のことをポンコツの意味で『ポンちゃん』と呼んでいた。女性教員へのセクハラは、被害者のプライバシーにも関わるので詳細は控えたい。セクハラは加害教員4人のうち、男性教員2人からあったことが分かっている」
−加害教員の年代と性別は。
「30代男性が3人、40代女性が1人」
−市教委は、他の教員への人格否定やセクハラをいつ把握したのか。
「9月に調査を行い、その中で事実をつかんだ」
−加害教員は担任を持っていたのか?
「担任を持っていた者も含まれる」
−加害者側の反省の弁などは。
「反省はしているということだが、はっきりとした事情聴取を行えているわけではないので控えたい」
−加害教員の普段の勤務態度について。
「東須磨(小学校)では中心となる人物、リーダーとなるような教員だったと聞いている」
−加害教員の現在の身分は。
「籍としては、東須磨小に残った形」
−広報資料のハラスメント行為の内容に「送迎・飲食などの強要」とあるが。
「送迎は被害教員がまだ仕事があるにも関わらず、『(加害教員の)自宅まで車で送ってくれ』と。飲食は昨年度、『飲め、飲め』とお酒を無理やり飲まされたということだ」
−被害教員の体や車にどういう被害が出たか。
「車の被害は確認できていないが、コピー用紙の芯でお尻を殴られた時は、ミミズ腫れが生じたということだ」
−学校が問題を把握したのは6月。学校の聞き取りでどこまで分かって、どこまで市教委に報告が上がっていたのか。
「学校の方では、『車の上に乗られた』とか『たたいてくる』などのハラスメント行為の訴えがあった。市教委に対して具体的な内容は知らされず、『教員間でトラブルがありました』という報告はあった」
−『トラブルがあった』というだけの報告をどう考える。
「校長の責任も含め、事実関係を明らかにした上で厳正な対応をしていきたい」
−これだけの内容で、6月よりも前から周りの先生がこの事態を知らなかったというのは考えにくいのでは。
「中には一部、暴力的なことが行われているとみていた先生方もいる。今後、ほかの先生の事情も確認していきたい」
−9月に入って被害教員が休んでいる。それまで学校としてどんな対応を?
「学校は被害教員に寄り添う形で、『大丈夫か』など声かけをして、できるだけ校長が職員室にいる時間を増やしていたということだ」
−加害教員4人に対しては。
「『(被害教員と)距離を置くように』という指示をしていたようだが、学校からの指導後も、被害教員に対する暴言があったようだ。校長は全体の職員会で『ハラスメント行為はしてはいけない』と指導を行った」
−今月から加害教員4人が休んでいる理由は。
「こちら(市教委)の方からある程度の事実が確認できたので、東須磨小学校に勤務させるのは適当ではないと判断をした」
−実質、謹慎ということか。
「自宅謹慎という制度はなく、制度上は有給休暇を取らせている状況。(加害教員)本人から体調不良という申し立てはあるが、教壇には立てないということも含み置きのことだ」
−(学校から市教委に報告があった)7月の段階で被害者本人に聞き取りなどはしていなかったのか。
「していない。学校側も『(トラブルは)もう収まっている』という認識だったので」
−東須磨小の教員数は。
「30人強というところだ」
−教員30人強のうち、4人が被害者で4人が加害者。学校の中でいじめる側といじめられる側があったということでは。
「集団で、という部分もあったようだが、普段は(加害教員)4人がばらばらで被害教員に対してハラスメント行為をしていたと考えている」
−集団で行われた行為はどれか。
「カレーを無理やり食べさせる行為」
−これらのハラスメントは学校内で行われていたことか。
「学校内で行われていたものと学校外で行われていたものがある」
−学校内で行われたものはどれとどれ。
「『ハゲ』『ボケ』『カス』など、人格を否定するような呼称で呼び掛ける行為。コピー用紙の芯でお尻を殴る行為。背中を肘でグリグリと押しつける行為。足を踏みつける行為。これらは学校で行われていたことを確認できている」
−現在休んでいる被害教員は、職場復帰についてどう考えているのか。
「できるだけ早く復帰したいという意向を聞いている。いち早く復帰できるよう全力で支援していきたい」
−加害教員は、基本的に東須磨小に復帰することはない?
「はい」
−子どもたちに対して、「いじめは駄目」「いじめを見過ごしては駄目」と言うべき先生がいじめをしていた。市教委としての受け止めは。
「こういった事態は前代未聞のことだと考えている。深刻に受け止め、今後、どういうハラスメント行為が行われていたか十分調査をし、今後の再発防止につなげていきたい」