【解説】「教師いじめ」 問題は”前々校長”にまでさかのぼる? 根底にあるのは「神戸独自の人事制度」か

【解説】「教師いじめ」 問題は”前々校長”にまでさかのぼる? 根底にあるのは「神戸独自の人事制度」か
関西テレビ 2019/10/25(金) 17:32配信

教師による教師へのいじめ

 羽交い絞めにして激辛カレーを食べさせるショッキングな映像。子供たちが学ぶ学校で教師が教師に対して行ったいじめ行為。神戸市立東須磨小学校で行われた教師4人によるいじめで、20歳代の男性教師は職場に戻ることができずに自宅で療養を続けています。

 いじめ行為は、買ったばかりの車の上に乗る、その車内で飲み物をこぼす、無料通信アプリLINEで女性教師にわいせつな内容のメッセージを送るように強要するなど。今年7月に被害を受けた教師から現校長に相談があったにも関わらず、加害教師4人から事情を聴いたうえで口頭注意にとどめました。

 結局9月に入って被害教師が精神的に不安定になり学校に出勤できなくなってから、神戸市教育委員会が調査し、問題が発覚しました。

神戸独自の人事制度がいじめの温床に

 今回のいじめ問題の根底には、神戸市教委独自の人事制度が影響しているのではないかという見方が出ています。通常、公立学校の教師の異動は教育委員会が決めますが、神戸市では現在勤務している学校と異動先の学校の校長が話し合った上で決める「神戸方式」と呼ばれる独自の制度があります。校長間で決められた異動案に対して市教委は追認するだけで、現場の校長に強い権限を持たせています。

 考えようによっては、校長は可愛がっている教師を自分の学校に呼び寄せることができ、その教師が希望すれば最長9年も同じ学校に勤務することが可能となります。通常、5年程度で異動することが多い学校という職場で、同じ学校に長く居続ければ居続けるほど、その教師の発言や影響力が強くなることが多くなります。

 今回の加害教師4人のうち2人は、前々校長の時代に赴任、在籍5年目を迎え学校では中心的な存在で、前校長も現校長も頼りにしていたとされています。こうした人事制度の下で、校長に目をかけられた在籍年数の長い教師に対し、モノが言いにくくなる雰囲気があったとされ、いじめを見ても校長や教頭に報告しにくくなり、問題の発覚が遅れた原因になったとみられています。

 神戸市もこの制度の問題点に気付き、早速「神戸方式」の廃止を決めました。神戸市は今後出る外部の委員会の調査結果を真摯に受けとめ、どうすればモノが言いやすい、風通しの良い学校になるかを考え、学校運営の在り方を見直す必要に迫られています。

児童への悪影響も

 また今回の問題発覚後、同じ小学校に通う児童2人が通学できなくなっているほか、この問題が直接影響しているかはわかりませんが、児童同士のいじめも増えていて、17年度はゼロでしたが、18年度は「13件」、今年は半年ですでに「16件」に達しています。

 本来、児童の手本となるべき教師によるいじめ。教師から「いじめはダメ」と言われても、説得力はありません。神戸市教委ではスクールカウンセラーを配置し、児童の心のケアも行っています。

※カンテレ「報道ランナー」  神崎博 報道デスク

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