調査に“教師の目撃証言ゼロ” 生徒100人が“いじめ見聞きした”と回答も…中3男子の「いじめ自殺」

調査に“教師の目撃証言ゼロ” 生徒100人が“いじめ見聞きした”と回答も…中3男子の「いじめ自殺」
東海テレビ 2019/12/24(火) 18:53配信

 今年7月、岐阜市の中学3年の男子生徒がいじめを苦に自殺したとみられる問題。第三者委員会がまとめた報告書が公表され、男子生徒の受けていた壮絶ないじめの内容が明らかになりました。

 男子生徒の通っていた岐阜市内の中学校。23日夜、臨時の保護者会が開かれ、市の教育委員会が問題の経緯や再発防止策などについて説明しました。

 説明会終了後、保護者から聞こえた声は…。

保護者:
「『警察は警察、教育委員会は教育委員会で別なので』ということではなくて、もうちょっと違う形で連携を取りながら事に当たったらいいのに、何でこんなに縦に割るんだろうという…お役所仕事ですよね、本当に」

別の保護者:
「(説明が)文章をただ読んでいるだけ。自分の娘が部活で同じようなことがあったら怖いなと思います」

 次々に口にしたのは、学校や教育委員会への不信感。その背景には、第三者委員会の調査で明らかになった壮絶ないじめの内容と、学校側のずさんな対応がありました。

第三者委員会・橋本治委員長:
「7月2日に(トイレで)土下座からお辞儀をさせられてしまった。とても嫌がっていることをみんなの前で言われたというのはすごくストレスになったのではないか」
 同級生の男子生徒3人から強要されたトイレでの土下座。男子生徒は、大便器に頭を突っ込む姿勢になっていました。さらに、トイレで土下座したことを教室で言いふらされたうえ、「もう一回トイレに行く?」と脅されていました。

 そして男子生徒は、このいじめを受けた翌日、7月3日にマンションから転落死しました。

 第三者委員会の調査で明らかになったいじめ行為は34件。その中には「巨額の金銭を支払わせる内容の誓約書を書かせる」「殴る・首を絞める」といった行為もありました。

 繰り返されたいじめ行為。複数の生徒が男子生徒を救おうと訴えていたことも明らかになりましたが…。

岐阜市教育委員会 早川三根夫教育長:
「子供たちが教えてくれたチャンスは大きくは2回あったわけですよね、それが両方とも生かせなかったのは残念なことで…」

 男子生徒が亡くなる1ヵ月ほど前、同級生の女子生徒が、担任教師にいじめを訴えるメモを提出。しかし、担任教師は、メモを校長や学年主任と共有せず、その後処分していました。

 また男子生徒が亡くなる2週間ほど前にも、別の同級生が校内のアンケート調査でいじめの事実を訴えましたが、担任教師は、その後具体的な対応をしていませんでした。

 見過ごされた“SOS”のメッセージ…。

 さらに、第三者委員会の調査に対し、生徒およそ100人がいじめを見たり聞いたりしたと証言した一方で、教職員の目撃証言が一つもなかったことも明らかになりました。

 第三者委員会は、学校の対応が不十分だったことが、いじめを激化させたと指摘しました。

 24日朝、中学校では校長が校内放送で全校生徒にメッセージを送りましたが、学校側の対応についての謝罪はありませんでした。

 24日朝、中学校では校長が校内放送で全校生徒に向けメッセージを送りましたが、学校側の対応についての謝罪はありませんでした。

<校長から生徒へのメッセージ>
「生徒と教員が協力し、お互いにいじめを克服しよう」

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