大分の小学生バレーチーム体罰 監督の教頭を訓告処分 県と日出町教委
毎日新聞 2020/4/15(水) 10:58配信
大分県日出町の小学女児バレーボールチームの監督を務める50代の男性教頭が、チームの小6女児に体罰をしたことが発覚した問題で、同町教育委員会がこの教頭と当時の小学校校長を文書訓告処分にしていたことが分かった。校外の社会体育活動で暴力があったと認定し、地方公務員法の「信用失墜行為」にあたると判断した。処分は3月16日付。
関係者によると、男性監督は2019年6月、バレーボールの練習中に声が小さいなどの理由で小6女児ら3人を夜のグラウンドで走らせ、走り方が良くないとして2人の頭を平手打ちした。
県教委に7月に情報が寄せられ、町教委が連携して調査。バレーチームが所属し、町教委が事務局を務める町スポーツ少年団は11月、体罰を認定し、監督を活動停止6カ月の処分にした。また当初は「体罰がなかった」としていた県小学生バレーボール連盟も12月、体罰を認めて監督を同じく活動停止処分していた。
ただ監督の教員としての立場での処分を巡っては、校外のクラブ活動中での暴力だったことから、教職員が公務中の体罰を禁止する規定が盛り込まれた学校教育法の適用外だった。
しかし、県、町教委は男性監督の行為が、公務中の体罰と類する暴力だったとして「信用失墜行為」に当たると結論づけて訓告とした。併せて当時の校長も監督責任があるとして訓告にした。
スポーツを巡る暴力について、県教委は「公務外の活動だが、小学生を教えており、完全なプライベートとは言えない」、町教委も「二度とこのようなことが起こらないようにする」と話した。【石井尚】
関係者によると、誓約書への署名が求められたのは、連盟に被害が訴えられた後の7月16日。保護者会は町内の公民館で開かれ、チームに所属する女児の保護者や、OGの保護者ら約40人が集まった。
保護者会では、連盟に報告したのが誰か追及された後、男性保護者が▽指導者の批判はしない▽チーム内で起きたことを公言しない▽指導者、保護者らの行為について関係協会や団体に訴えない――などを約束する誓約書を配り、集まった保護者全員に署名を迫ったという。
関係者によると、誓約書の存在は監督には伝えずに、一部の保護者が独自に作成。誓約が守られていないと、保護者会の半数以上が判断した場合は、子供を退部させることを受け入れ、異議を述べないなどとしたという。
また保護者会では、情報を漏らしたと疑われた親が正座させられ、リーダー格の保護者に詰問されたという。保護者会は午後6時半に始まり、4時間に及んだ。ある保護者は「チーム内での監督の権力は強く、その力を背景にして、子供のことを第一に考えない親たちの姿勢に憤りを覚えた」と話す。
誓約書を作った保護者は、毎日新聞の取材に「体罰についてチーム内で話し合っていないのに外に言うなんておかしいと思った。体罰と指導の違いは考えたことがない」と話した。