元コーチによる性的虐待、被害者8人がシティに損害賠償請求
AFPBB News 2020年5月6日 16:32
【5月6日 AFP】サッカーのクラブチームで少年選手に性的暴行と虐待を繰り返し、有罪判決を受けた元コーチのバリー・ベネル(Barry Bennell)受刑者をめぐって、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)のアカデミー時代に被害に遭ったという男性8人が、クラブに損害賠償を求める裁判を高等法院で起こした。
ベネル受刑者はシティでスカウトや、契約可能な年齢に達していない少年の「育成チーム」でコーチを務めていたとされる時期に犯罪を繰り返していた。現在は40代後半から50代前半の被害者8人は、虐待によって「心に深い傷を負った」責任がクラブにもあると主張し、損害賠償を求めている。
ベネル受刑者は、1979年から1991年にかけて指導していた少年12人に暴行を加え、複数の罪で禁錮30年の刑に服している。今回はその一部が高等法院で訴えを起こした。
シティと受刑者の関係については、クラブから正式に給料を受け取っていたわけではないと考えられているが、1976年から1984年にかけて3年ずつ2回、アカデミーに関わっていた。その後はフットボールリーグ2(4部)のクルー・アレクサンドラFC(Crewe Alexandra FC)で7年間、下部組織のコーチを務めた。
原告団は、ベネル受刑者がシティの「帳簿」に載っていたわけではないが、クラブにも暴行に対する代位責任があると主張している。「サッカー選手としてのキャリアを断たれた」ことの損害賠償を求めているのは一人だけで、二人はクルー・アレクサンドラに対しても賠償を求めている。
両クラブは代位責任を否定し、裁判に持ち込むにはあまりにも時間がたちすぎていると主張。また、原告団の言う経済的損失などの度合いにも反論している。
提訴を受けて、高等法院は2021年10月から裁判を開始し、8週間かけて8人の訴えに耳を傾けることを暫定的に決めた。(c)AFP
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英サッカー児童虐待の裁判、被害者が元コーチからの性的暴行を証言
AFPBB News 2018年1月12日 12:53
【1月12日 AFP】英サッカーチームの元コーチで、元ユース選手に対して性的暴行と虐待を繰り返した罪に問われているバリー・ベネル(Barry Bennell)被告の裁判が11日、同国北西部のリバプール刑事法院(Liverpool Crown Court)で開かれた。
被害者の一人で現在45歳のクリス・アンズワース(Chris Unsworth)氏は、被告からマンチェスター・シティ(Manchester City)のジュニア選手としてスカウトされた後に餌食にされたと述べ、クラブの練習場に車で連れていかれると「すぐに」に虐待が始まったと訴えた。
匿名の権利を放棄して裁判に臨んでいるアンズワース氏は、被害者11人のうちの2人目として証人席に入ると、ベネル被告が車の中で自ら命名した「follow me(私のまねをしろ)」という遊びで虐待を始めたことを明かした。
アンズワース氏は、「彼は服の上から体に手をまわし、くすぐるのです。それから同じことをしろと言われました」と述べると、その遊びは被告の手が「シャツや下着の中に」入るまで続けられたことや、虐待が被告の自宅でも行われていたことも証言。やがて遊びは性行為に発展し、被告はベッドの上で少年2人に挟まれることもあったという。
「常に彼に言われたことをさせられました。求められないことを願っていました」
アンズワース氏はまた、性的行為がエスカレートして、ベネル被告から「約6回」にわたり性的暴行を受けたとして、「初めてのときのことは忘れられません。痛くて、ただ泣いていました。実際には2〜3分でしたが何時間にも感じられました」と告白。思春期を迎えるにつれて性的暴行の回数は減り、「もう限界だ」としてサッカーをやめたときに終わったことを明かした。
体調不良によりビデオリンク方式で出廷した64歳のベネル被告は、1979年から1990年にかけて児童虐待を繰り返したとして48件の罪を問われているが、アンズワース氏への虐待を含めた起訴内容を否定している一方で、同氏が自分の自宅に滞在したことや自分のベットで寝ていたことは認めた。
被告はさらに、初対面のアンズワース氏について自分を魅了するには幼すぎたとして、「私のターゲットはいつも13歳くらいだった」と主張。同氏と知り合ったときは別の少年を虐待しており、「獲物は一人だった。2人、3人、4人も必要なかった」と反論した。(c)AFP
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英少年サッカー界の性的虐待、被害者は数百人単位か
BBC News 2016年11月28日
英サッカー界の元選手たちが、少年選手だったころに監督やコーチから性的虐待を受けていたと公表し、被害者ホットラインへの相談も相次ぐ事態となっている。その中で、プレミア・リーグの複数チームでプレイした元イングランド代表のポール・スチュワート氏(52)は、被害者は数百人単位に上る可能性があると指摘する。
クルー・アレクサンドラFCのアンディ・ウッドワード元選手(43)は16日、当時ユース・スカウト兼コーチだったバリー・ベネル元服役囚(62歳、1994年と1998年、2015年の3回、複数の少年に対する性的虐待罪で有罪)から虐待されていたと公表。その後、同じクルーのスティーブ・ウォルターズ、クリス・アンズワース、ジェイソン・ダンフォード元選手たちが相次ぎ、ベネル元服役囚に虐待されていたとBBCの番組で名乗り出た。
さらにマンチェスター・シティFC元選手で元イングランド代表のデイビッド・ホワイト氏も、マンチェスター市内のジュニアチーム時代にベネル元服役囚に虐待されたと公表。
スチュワート元選手は、自分の加害者はベネル元服役囚ではない当時の監督だが、ベネル元服役囚と関係があったのではないかと話している。
ウッドワード元選手の公表を受けて、英児童虐待防止協会(NSPCC)が緊急ホットラインを設置したところ、開始2時間の内に50人以上が被害相談の電話をかけてきたという。
イングランド・サッカー協会(FA)のグレッグ・クラーク会長は24日にウッドワード氏と会談。クラーク会長はBBCに対して、「恐ろしい犯罪」の被害者たちが「安心して」訴え出られるように万全を尽くすと話した。
マンチェスター・シティFCは24日、「バリー・ベネルが1980年代にマンチェスター・シティFCと関わっていたという指摘について、認識している。このため、(ベネル元服役囚が)過去にこのチームとどう関わっていたのか徹底的に調査している」と発表した。
英紙ガーディアンによると、ニューカッスル・ユナイテッドFCのユース・チームの元コーチで、2002年に少年サッカー選手たちへの性的虐待罪で有罪となったジョージ・オーモンド元服役囚から、性的虐待を受けていたという匿名の元選手が、警察に通報しているという。
ノーサンブリア警察の報道官はガーディアン紙に対して、「ニューカッスルで過去に性犯罪が繰り返されていた」という訴えを受理し、捜査中だと答えている。
オーモンド元服役囚は、1974年から1994年にかけて13歳〜21歳の少年や青年に対して性犯罪を繰り返した罪で有罪となり、服役した。当時の裁判長は、「サッカー・コーチとしての立場を悪用して、弱い立場にある子供たちを標的にし」、「青少年を常習的に虐待した」と指摘。「コーチの権限によって、犯行が明るみに出るのを防いだ」と糾弾していた。
スチュワート元選手は、プロ生活をブラックプールで始め、トットナム、マンチェスター・シティ、リバプールで相次ぎプレイした。ベネル元服役囚ではない別の監督に、11歳から15歳までの間、虐待されていると明らかにしたスチュワート氏は、「何百人もの」被害者が名乗り出る可能性があるとBBCに話した。
BBCのダン・ロアン・スポーツ担当編集委員に対してスチュワート氏は、自分を虐待していた監督は、ベネル元服役囚と知り合いで、ほかにも「同じことを子供相手にやっていた」男性2人と知り合いだったと説明。共謀の事実の証拠はないが、「みんな共犯だったに違いない」と話した。
「サッカー選手になりたかったら、言うとおりにしろと言われていた」、「子供のころからずっと、サッカー選手しかなりたいものがなかった。僕が人に話せば、両親や2人の兄を殺すと脅されていた」とスチュワート氏は話した。
スチュワート氏は、15歳でブラックプールと契約してようやく、虐待から逃れることができたと述べた。同氏は17歳で、ブラックプールの選手としてプロデビューした。
BBCの人気司会者だった故ジミー・サビルによる児童虐待と同じような大規模で悪質な事態になるかと問われたスチュワート氏は、「もちろんそうなると思う。被害者が訴え出られさえすれば、確実にそうなると思う」と答えた。
最初に英紙デイリー・ミラーで自分の被害を名乗り出たスチュワート氏は、発売前の紙面を子供たちに自分で見せることができなかったと認め、「とても辛かった」と話した。
「でもこうする必要があると思った。被害に遭ったほかの人たちが訴え出られるように。またやろうと思ってる人間が思いとどまるように。サッカーだけでなく、あらゆる分野で」とスチュワート氏は、名乗り出た理由を説明。さらに「スポーツの世界で子供に接触するのは本当に簡単だ。簡単に獲物にされてしまう」と警告した。
ベネル元服役囚は、1980年代から1990年代にかけてクルー・アレクサンドラFCのユース・コーチで、ストーク・シティやマンチェスター・シティともかかわりが深かった。
チェシャー警察によると、ウッドワード元選手が名乗り出て以降、ウォルターズ元選手を含めて11人が、被害を名乗り出たという。
24日夜には、英中部ミルトン・キーンズにあるベネル元服役囚の自宅から警察が犬と複数の箱を持ち出す様子が、目撃されている。
イングランドサッカー選手協会(PFA)のゴードン・テイラー会長はBBCスポーツの取材に対して、「隠蔽があったとか秘密の目的があったとかそういう話になる。自分の経験とPFAの立場からしか語れないが、隠蔽はない。選手を助け、問題を解決するのが我々の役目だ」と話した。
「訴え出る選手の数は増えている。この問題が原因でサッカーを職業にしなかった若者もいるかもしれない。問題の全体に取り組む必要がある」
FAで平等と安全を担当するスー・レイベンロー氏は、名乗り出た4人の選手の「勇気と尊厳」は「とてつもない」と評価した。