東京医大前理事長、1億円申告漏れ 受験生の親から謝礼
朝日新聞デジタル 2020/7/25(土) 10:21配信
医学部入試の受験生の親などから受け取った謝礼を申告していなかったとして、東京医科大(東京)の臼井正彦前理事長が、2018年までの5年間で計約1億円の申告漏れを東京国税局から指摘されたことがわかった。鈴木衛前学長も同年までの4年間で数百万円の申告漏れがあったという。
関係者によると、同国税局は、臼井氏らが受験生の親などから受け取った合格への配慮を求める手紙や、受験生の名前、受験番号、紹介者が記されたメモなどを確認。大学の報酬とは別に受け取った謝礼としての現金を税務申告していなかったと認定した。所得税の追徴税額は過少申告加算税を含め、臼井氏が約4千万円、鈴木氏は数百万円。いずれも修正申告したとみられる。
臼井氏は08年に同大の学長、13年に理事長に就き、鈴木氏は14年から学長を務めていた。ともに18年7月、文部科学省の私立大学支援事業をめぐり、同省の元科学技術・学術政策局長の子を不正に加点した疑いが持たれて辞任した。
18年8月に公表された同大の内部調査結果によると、臼井氏と鈴木氏は、親などから依頼があった受験生の得点を不正に加点するよう職員に指示し、合格した場合には大学に寄付してもらうほか、個人的に謝礼を受け取っていた。こうした不正な得点操作は臼井氏が主導したとされ、特定の受験生を優遇する一方、女性や浪人の受験生を不利にしていたことも明らかになった。
両氏は元局長への贈賄罪で在宅起訴され、公判中。(中野浩至)