分単位の自動入力のはずが… 出退勤時刻も一部に改変か 県立特別支援学校の勤務時間問題
上毛新聞 2020/8/31(月) 6:03配信
群馬県内にある県立の特別支援学校で時間外労働が過少に記録されていた可能性がある問題で、出退勤時刻の一部が本人の了承なく改変された形跡もあることが30日、複数の関係者への取材で分かった。本来働いた時間より短くなっていたといい、時間外労働を実態より少なく見せ掛けるため、意図的に記録が書き換えられた疑いがある。
◎記録ファイルは共有で書き換えできる状態
記録には、校内の共有フォルダ上にある「在校等時間記録ファイル」を使う。出退勤時刻の欄は、各教員が貸与パソコンを起動・終了した時間が分単位で自動入力される。
上毛新聞が入手した複数の資料によると、ある教員の記録はもともと分刻みで統一感のない出退勤時刻が記録されていた。それが一定期間について連日、基本の勤務である「午前8時30分〜午後5時00分」ちょうどに変わっていた。
関係者によると、後に記録を見た本人が不自然な改変に気付いた。直されたことで本来働いた時間より過少になったという。
県教委によると、共有フォルダで他人の記録を開くことは可能。出退勤時刻は修正のため後から書き換えることができるようにしているという。
問題を巡っては記録の「除外する時間」の欄に書き加えて総勤務時間から差し引く手法で、帳簿上の時間外労働が、県ガイドラインの基準(月45時間)を下回るように改変された可能性が浮上している。「除外する時間」は学校にいながら業務外のことをしていた時間などを示すが、当事者たちは実際はずっと働いており「除外時間に当たるものはなかった」と主張している。
上毛新聞の取材に、同校の男性校長は人為的な改変の可能性を否定している。情報を把握している県教委は近く調査に乗り出す。
■「国や県の目安実態に即さず」高橋哲・埼玉大准教授(教育行政学)の話
公立学校教員は時間外勤務手当がない立場であり、本来は時間外労働ゼロであるべきだ。しかし現実には、月45時間以内という国や県の目安すら、多忙な現場の実態に即していない。記録改変が事実だとすれば、単なる個別の不正というより、そうしなければいけないほど追い込まれている仕事量や職場環境に問題があるのではないか。いずれにせよ、現行法制の下では起こるべくして起こることだ。