教員による性暴力「教室などで8割、授業中に3割」 ネット調査で明らかに

教員による性暴力「教室などで8割、授業中に3割」 ネット調査で明らかに
毎日新聞 2020/12/14(月) 17:37配信

 15〜19歳の時に中学校教師から性暴力を受けたことを公表している石田郁子さん(43)=東京都=が10日、文部科学省記者クラブで記者会見を開き、学校での性暴力被害の実態を調べたアンケート結果を公表した。教室など学校内の被害が8割で、授業中に被害に遭った子どもが最多の3割を占めた。指導に紛れた性暴力が学校内ではびこっている一方で、被害に遭っても8割弱の児童・生徒が性暴力被害に気がつくことができず、教員の子どもへのわいせつ行為が潜在化している実態が明らかになった。

 石田さんは7月9〜31日にインターネットアンケートを実施し、性暴力被害に遭ったり遭いそうになったりした149人から有効回答を得て分析した。

 被害内容を複数回答で尋ねたところ「体を触られる、触らせられる」24・8%▽「性的な発言、会話をされる、関与させられる」20・8%▽「性的な行為をされる、させられる」12・7%▽「自分の体を見られる」12・7%――などだった。

 8割弱の子どもが被害を認識できず、被害に気がつけた時期を尋ねたところ「10年以内」が最多の22・6%。「5年以内」12・2%▽「15年以内」10・4%――と続いた。被害に遭っていても「気のせいだったのではないか」「むしろ先生は親切でしてくれているのでは」と思い込む傾向があり、教師を疑う発想がない子どもが被害を大人に訴えることが難しい現状や、大人になってようやく被害に気がつくことができる「学校での性暴力」の特殊性が浮かぶ。

 一方、「他の教師が被害に気がついた」と回答した41人に、その時の対応について尋ねたところ、「見て見ぬふり」が63・4%で最多。何度も被害に遭った回答者108人のうち、保護者や警察が介入して教員の加害を止めた事例はわずか5件にとどまり、半数以上が卒業をしたり教員が異動したりといった「教員に会わなくなったことによる自然消滅」だった。さらに149人の回答者のうち、教員が退職したケースは2件しかなかった。

 子どもがSOSすら出せず、勇気を持って出しても被害が止められない実態に危機感を覚えた石田さんは、鰐淵洋子・文科政務官に今回のアンケート結果を提出し、被害の実態に即した対策を要望した。臨床心理士や弁護士らで構成する第三者委員会の調査の義務化や、被害に気がついた他の教員の通報の義務化を求めており、「『あの先生がそんなことをするわけがない』『黙っておくように』と(周囲に言われたりと)か見て見ぬふりが多い。深刻です」と訴えた。【坂根真理】

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