奈良・立山辺高に今度はパワハラ疑惑 飲酒問題も含めて校長を直撃すると…
日刊ゲンダイDIGITAL 2020/12/18(金) 9:26配信
31日開幕の全国高校サッカー選手権に初出場する奈良県立山辺高(奈良市)で、部員3人が指導者の元Jリーガーによるパワハラを理由に退部していた。同校サッカー部を巡っては8日、今年8月に部員6人が、9月には部員10人が、寮の自習室で飲酒していたことが発覚したばかりだ。
部員が生活する寮は、興津大三氏(46)が監督を務める民間団体「ボスコヴィラサッカーアカデミー」が管理・運営し、部員はボスコに所属。2018年から部員を指導している興津氏に対し、複数の保護者から県サッカー協会にパワハラに関する相談があり、協会は今年4月5日付で厳重注意処分にした。
協会によると、興津氏から「おまえが辞めてくれたらチームは良い方向に行くと思う」「根性が腐っとる」と暴言を浴びせられ、皆の前で名指しで「オレの悪口を何言うたか、言ってみいや」と威圧され、胸のエンブレムを小突かれ、叩かれたとの相談があった。興津氏は6月、別の元部員2人からパワハラで退部に追い込まれたとして、損害賠償請求訴訟を起こされている。
「1月に興津氏に事情を聴きました。部員の証言はかなりの数に上り、一つ一つ確認しましたが、一切認めず、『(相談した)選手に対する指導は確かに他の選手より多かった』と言うにとどまりました。興津氏本人が発言を認めず、証拠となる音源や画像もありませんが、1年半にわたって同様のことが起きている。部員が訴えた内容がよく似ていることから、指導者として改善してもらうため、厳重注意処分としました」(協会担当者)
興津氏は提訴されたことで夏以降はベンチに入らず、指導のみ行っているという。興津氏の携帯電話を鳴らし、「発言は事実なのか?」と聞くと、「それを含めて弁護士にお任せしているのでお答えできません」とのことだった。
■寮を家庭と解釈
学校側は「パワハラ」と「飲酒」の両問題をどう捉えているのか。吉岡敏之校長に話を聞いた。
――興津氏と話し合いはしているのか。
「県とどのように回答するか、対応を相談しながら進めていきます」
――パワハラがあったことは把握している?
「それも含めて検討させていただきます」
――先日の記者会見で「家庭内での飲酒と同じと拡大解釈していた」と発言していたが。
「寮の中を家庭の中と拡大解釈したということです」
――寮はボスコの管理だから、学校は関与できないという考えか。
「そういう基本合意でこれまでやってきました」
――ボスコが対処する問題で学校側は関われないのか。
「以前はそういう取り決め、基本合意で進めていました。ボスコでそういうことがあったので、ボスコで『飲酒がいけない』という指導が終わったという認識でした」
一事が万事この調子。飲酒もパワハラもまるで「他人事」だ。
奈良の県立高校サッカー部の元男子部員たちがパワーハラスメントを受けたとして元Jリーガーの監督を訴えた裁判が始まりました。
訴状によると、奈良県立山辺高校サッカー部の元男子部員2人は3年前の入学以降、元Jリーガーの監督に暴言を吐かれ、退部や退学を余儀なくされたということです。
山辺高校はサッカー部の運営などを民間団体の「ボスコヴィラサッカーアカデミー」に委託していていて、2人は監督とアカデミーを経営する企業に計1100万円の損害賠償を求めています。
【元男子部員の父親】
「子供たちがやられたことをどうしても許せないので、徹底的に追及していきたいなと思います」
アカデミー側は2人の請求の棄却を求め、争う姿勢を示しました。
訴状などによると、元部員2人は2017年4月に山辺高に入学し、寮生活を送っていた。18年に就任した監督は、元部員に対して親と連絡をとることや帰宅することを不当に責め立て、長時間の面談を行って「この場にいたいならこっちに従え」などと言い、19年に元部員を退寮、退部に追い込んだと主張している。
もう1人の元部員に対しても、監督は「お前の父親はいつもこうやから成長できない」と言い、深夜に寮内で何度も呼び出すなどした。元部員は自宅が大阪府内にあったため、18年に退寮すると同時に退学も余儀なくされたとしている。
奈良県立山辺高校サッカー部(奈良市)で元Jリーガーの興津(おきつ)大三監督(46)からパワハラを受け退部を余儀なくされたとして、元部員2人が興津氏と運営会社を相手取り、計1100万円の損害賠償を求める訴えを奈良地裁に起こした。10日付。
訴状によると、興津氏が監督を務める「ボスコヴィラサッカーアカデミー」(奈良市)は県立山辺高校と提携し、サッカー部と部員が生活する寮を管理運営している。平成29年4月に入学した元男子部員2人は、興津氏から暴言を浴びせられたり、他の部員の前で親の悪口を言われ続けたりして心身を疲弊。1人は適応障害を発症し、ともに退部を余儀なくされたとしている。
29日、奈良市内で記者会見した保護者は「息子はプロになりたいという思いをかなえるため、期待に胸を膨らませて入部した。サッカーに真剣に取り組んでいる子への裏切り行為だ」と訴えた。同アカデミーを運営する天平フーズは「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
興津氏は元Jリーガーで、J1清水のスカウト時代には元日本代表FW岡崎慎司選手の獲得に関わった。