三重大病院汚職 寄付金で飲食 元教授、代表の団体が受け皿
伊勢新聞 2021/1/8(金) 11:00配信
三重大付属病院(三重県津市)の医療機器納入を巡る汚職事件で、第三者供賄の疑いで三重、愛知の両県警合同捜査本部に逮捕された同病院の臨床麻酔部長だった元教授で医師、亀井政孝容疑者(54)=大阪市天王寺区=が令和元年に寄付金名目で受け取った金の半分以上を同僚らとの飲食費に充てていたことが捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、寄付金の受け皿となったのは亀井容疑者が代表を務める一般社団法人BAMエンカレッジメント(津市)。同法人には同年、今回の事件で贈賄側となった医療機器製造販売会社「日本光電工業」以外にも複数の医療機器メーカーから寄付金があり、総額は400万円。うち約250万円が飲食代に消えたという。
登記簿によると、団体の活動目的は「麻酔科医に対し、より高度な専門性を付与する活動を行う」などとし、研究会や専門教育セミナーの開催をうたっている。県警は亀井容疑者が麻酔科医の育成などを目的に企業から寄付金を募り、実際は飲食費などに充てていたとみて経緯を調べている。
同病院の医療機器納入で便宜を図った見返りとして、日本光電工業側に現金200万円を同団体の口座に振り込ませたとして、捜査本部は6日、第三者供賄の疑いで、亀井容疑者と元部下で同病院臨床麻酔部の元講師で医師、松成泰典容疑者(46)=京都府木津川市=を逮捕した。
また、捜査本部は贈賄の疑いで、同社中部支店医療圏営業部長、下村篤司(48)=岐阜市、同社三重営業所長の花原慎一郎(41)=津市、同所員の田畑宏樹(36)=鈴鹿市=の三容疑者を逮捕した。亀井、松成の両容疑者を含む5人の認否は明らかにしていない。
捜査関係者によると、亀井容疑者は平成30年5月ごろ、手術室などで使う「生体情報モニター」を令和元年からの6年間で29セット(1億7800万円相当)更新する計画を立てたという。
同年7月には、下村容疑者らが、亀井容疑者らに同モニターを自社製品に入れ替えるよう依頼。31年1月から昨年7月までの一般競争入札で、3セット(約3770万円相当)を同社側が落札した。うち1回の入札で亀井容疑者が便宜を図った疑いがある。
捜査本部はこの日、亀井容疑者ら5人を津地検に送検した。