高3男子いじめ自殺 学校側に2600万円の賠償命令 福岡地裁

高3男子いじめ自殺 学校側に2600万円の賠償命令 福岡地裁
西日本新聞 2021/1/22(金) 20:17配信

 福岡県内の私立高3年の男子生徒=当時(18)=が2013年に自殺したのは、学校側が同級生のいじめへの対応を怠ったためだとして、遺族が高校を経営する学校法人に約9500万円の損害賠償と謝罪文の校内掲示を求めた訴訟の判決が22日、福岡地裁であった。小野寺優子裁判長は「適切に対応していれば自殺を防ぐことは可能だった」として、約2643万円の賠償を命じた。

 判決で小野寺裁判長は、同級生のいじめは1年時に始まり、2年時からは暴力を伴うものになったと認定。「精神的に追い詰められ、現実から逃れる手段として自殺したと認めるのが相当」と、いじめと自殺の因果関係を認めた。

 学校側の対応については、2年時に体のあざから自殺未遂を疑ったり、実際にいじめを見たりした教諭2人が積極的に対応しなかったとした上で「いじめ問題への感受性が鈍く、教職員の意識が十分に養われていたとは言いがたい」と批判。学校と教諭2人には安全配慮義務違反があったとした。遺族が名誉回復のために求めた謝罪文については「社会的名誉が毀損(きそん)されたとは言えない」として退けた。

 いじめをした元同級生8人は謝罪し、解決金を支払うことで全員がこの裁判で和解。判決後に記者会見した父親(67)は「全てではないが、胸の内を認めてもらった判決。二度と同じようなことが起きないことを願う」と語った。学校法人は弁護士を通じて「判決を重く受け止め、いじめ防止に引き続き取り組む」とコメントした。

 いじめを巡っては、同級生7人が暴力行為法違反の疑いで福岡家裁に送致され、家裁は14年8月、非行内容を認めた上で不処分とした。学校側設置の第三者委員会は15年3月、14件の行為をいじめと認め「自殺との因果関係は明白」としていた。

 (森亮輔)

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