旭医大学長の発言に矛盾 学内会議「医療崩壊のほの字もない」/報道資料「有事」と患者受け入れ拒否 「理由後付け」批判も

旭医大学長の発言に矛盾 学内会議「医療崩壊のほの字もない」/報道資料「有事」と患者受け入れ拒否 「理由後付け」批判も
北海道新聞 2021/1/28(木) 11:54配信

 【旭川】旭川医科大が新型コロナウイルス患者の受け入れ是非に端を発して同大病院の古川博之病院長を解任した問題で、吉田晃敏学長は25日付で発表した報道向けの資料で、受け入れを許可しなかった昨年11月中旬の旭川市内の感染状況について「有事」と振り返り、同病院の「安全」を確保するためだったと強調した。ただ、同時期に行われた学内の会議では「医療崩壊のほの字も出ていない」と正反対の発言をしていた。学内では、その場しのぎの対応が矛盾につながったと批判も出ている。

 旭医大病院では昨年11月9日と13日、古川氏がクラスター(感染者集団)が発生していた慶友会吉田病院(旭川)の感染者受け入れを求めたが、吉田学長が許可しなかった。

 同学長は今月25日付の発表資料で、当時の市内の感染状況について「まさに有事」と指摘し、「本院では十分な受け入れ対策がとられていない。安全体制が崩壊するおそれがある」とし、外部の感染者を受け入れなかったのは旭医大病院内で感染が広がるのを防ぐためだったとの認識を示した。26日の記者会見でも「教授として培ってきた知識と動物的な勘でそういう対応を取った」と受け入れ不許可を正当化した。

 一方、昨年11月17日に開かれた学内会議の議事録によると、吉田学長は「●●病院の●●院長が連日テレビに出て防護服を着て大変な医療崩壊だと言っているが、僕はそうでないと思う。古川病院長と(話しても)医療崩壊のほの字も出ていない」と述べ、市内の感染拡大への危機感は読み取れない。

 吉田学長はこの会議で「コロナを完全になくすには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない」「吉田病院があること自体、感染をまき散らしている」と発言。12月上旬に音声とともに週刊文春に報じられ、自ら議事録を公開して釈明に追い込まれた。当時は市内で感染が広がっているのは吉田病院だけだとの認識を示したようだが、古川氏は12月下旬、吉田学長から「受け入れるならおまえが辞めろ」と言われたと証言。吉田学長は受け入れ拒否の理由を整理する中で矛盾が生じたようだ。

 説明会などを通じて吉田学長の一連の発言を知った同大職員は「同じ時期の発言なのに認識にずいぶん差があると驚いた。後付けで患者受け入れ拒否の理由を考えたためだろうが、あまりにお粗末だ」と話した。

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