鹿児島県立高1自殺 県教委の不備指摘「調査は国の指針逸脱」 再発防止検討会

鹿児島県立高1自殺 県教委の不備指摘「調査は国の指針逸脱」 再発防止検討会
南日本新聞 2021/2/22(月) 22:00配信

 鹿児島市の県立高校1年の田中拓海さん=当時(15)=が2014年8月に自殺した問題で、有識者でつくるいじめ再発防止検討会は21日、「県教育委員会の調査は国の指針に沿わない対応だった。情報共有も対応体制も不十分で場当たり的だ」などと指摘する提言案を示した。年度内にも正式に取りまとめる。

 提言案は県庁で21日あった第15回検討会で示した。文部科学省の指針によると、いじめ自殺疑いの事案が発生した場合、原則として外部専門家を加えた調査組織による「詳細調査」を行うとしている。提言案では「学校生活に関係する要素が自殺の背景にあることを否定できない状態であったにもかかわらず、教育委員会は詳細調査を進める判断をしなかった」などと言及。結果的に発生から10カ月間、調査を決めなかったことに対し「指針にそぐわない対応」と強調した。

 事案発生後の対応についても「学校の果たすべき役割を誤ったまま対応がなされ、家族との信頼関係が構築できずに不信感を生む状況が生じている」と指摘。県教委に対し、これまでの対応を批判的に再検討し、管理職を含む教職員へ実践的な研修を行うよう求めた。

 取りまとめる提言は(1)いじめ防止対策や自殺など重大事態の発生防止策(2)重大事態発生後の学校や県教育委員会の対応(3)いじめ調査の在り方(4)今後の検証内容−を盛り込む方針。会長の高谷哲也・鹿児島大准教授は「委員間で修正協議を進め、できる限り早く取りまとめたい」と話した。

 一連の問題を巡っては、県の再調査委員会が学校でのいじめが影響したと認めている。

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