奄美中1自殺 再発防止へハンドブック作成 遺族「意見反映わずか」改善要望
南日本新聞 2021/2/23(火) 22:00配信
奄美市の公立中学1年男子生徒=当時(13)=が2015年11月に自殺した問題で、市教育委員会が設けた再発防止対策検討委員会(委員長・假屋園昭彦鹿児島大大学院教授)は22日、最終的な再発防止策の「生徒指導ハンドブック」を作成し、朝山毅市長に報告した。2月中に各小中学校に配布する。遺族が求めた防止策の実施状況を検証する第三者機関について、市教委は「21年度中の設置を目指し、メンバーなどを検討中」としている。
ハンドブックはA4判47ページで、このうち自殺に至る概要や学校側の組織的対応の課題など1ページ分明記。「生徒指導態勢」「体罰・暴言」「教育相談」「教育委員会の対応のあり方」の4項目について、生徒に寄り添う指導や組織的対応、情報共有の方法などを記した。各項目に指導を振り返るチェックリストを付けた。假屋園委員長は「現場で教員が活用できるよう工夫した。遺族の思いも最大限反映している」と述べた。
遺族は弁護士を通じて「事案の概要・課題や市教委の対策の記載などが不十分。私たちの意見はわずかしか考慮されず、検討委終了ありきで公表されたのは甚だ残念」とのコメントを発表した。
市の第三者調査委は18年12月、報告書で「担任の指導が自殺の原因」と認定。自殺翌日の臨時校長研修会で「いじめた側が自殺」と誤った断定をしたことも批判した。市教委は第三者委の提言を受け19年5月、再発防止対策検討委を設け途中から遺族も加わり、具体策を協議。昨年10月の会合で最終案が了承されたが、遺族は内容に不満を示していた。