県立高1自殺 調査・検証組織常設を 有識者検討会が提言案

県立高1自殺 調査・検証組織常設を 有識者検討会が提言案
南日本新聞 2021/3/12(金) 15:00配信

 鹿児島市の県立高校1年の田中拓海さん=当時(15)=が2014年8月に自殺した問題で、有識者でつくるいじめ再発防止検討会は11日、「調査や対策の検証を担う常設機関の設置が必要」などと指摘する提言素案を示した。29日に最終提言をまとめ、同日にも塩田康一県知事や県教育委員会に報告する。

 県庁で11日あった第16回会合で示された。素案によると、県教委側が実施したいじめ調査を「消極的な姿勢に終始している」と指摘。今後の防止策への取り組みを検証する必要性にも言及した。公平性・中立性が確保された専門家らによる「常設の検証体制」をつくるよう求めた。

 素案には「自殺事案発生に備え、学校として情報共有を図り、異動ごとに構築し直す」「保護者対応は組織的に行い、管理職がやり取りすることが望ましい」−が盛り込まれた。遺族側は県教委に繰り返し事実関係の説明を求めてきたが、回答が長年なかったため、末尾には「県教委は、法や国の基本方針に反する対応が続いていた」と付け加えた。

 意見交換の際、会長の�眞�哲也・鹿児島大学准教授は「遺族感情を、より教育現場に近い人が学ぶ機会が必要。遺族に講話を頼むなど、協力を得た研修実施を求めたい」と提案し、追加方針を確認した。29日に素案の最終的な合意を図る。

 県の「総合教育会議」に報告される見込みで、塩田知事と県教委が意見交換する。�眞�会長は会合後、「提言が実行されるか、県民にも見守ってもらいたい」などと訴えた。県教委は「素案を見ておらず、内容は把握していない」としている。

 一連の問題を巡っては、県教委が設置した第三者委員会は17年、「いじめがあったとは断定できない」と報告。遺族の要望を受け設置された県の再調査委員会は、学校でのいじめが影響したと19年に認めた。

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