障害者施設で女子中生に暴行、元指導員の男に有罪判決 神戸地裁

障害者施設で女子中生に暴行、元指導員の男に有罪判決 神戸地裁
神戸新聞NEXT 2021/3/15(月) 12:18配信

 神戸市北区の放課後等デイサービス施設「ホアロハ」(廃業)で、知的障害のある利用者の女子中学生が虐待を受けた事件で、神戸地裁は15日、暴行罪に問われた同施設の元児童指導員の男(52)=神戸市兵庫区=に有罪判決を言い渡した。元施設長の男(45)も別の暴行罪で有罪判決を受けており、一連の事件で暴行の事実が認定された。公判でのやりとりは、尊厳をないがしろにされた障害者や家族の境遇を改めて浮き彫りにした。

 公判での証言などによると、同施設利用者への暴力的な対応は内部告発により表面化。2020年9月に神戸北署が元施設長と元指導員を暴行容疑で逮捕した。元施設長は頬を手のひらで殴った事実を認め、元指導員の弁護側は「いすを蹴ろうとした女子生徒をけがから守るため足を払っただけ」と無罪を主張した。

 検察官が朗読した被害生徒の両親の意見陳述書によると、生徒は難病のアンジェルマン症候群で、話すことができない。両親は「娘がたくさんの人と関わり、理解してもらい、楽しく過ごせる場所をつくることが大切」との思いから、生徒が小学4年生になる前ごろに同施設の利用を開始したという。

 両親は陳述書で「娘は話すことはできないが、相手の気持ちを感じ取ることはできる」と述べ、被害を訴えられない弱みにつけ込んだ「あざが残らない程度の暴力」や「ひどい言葉」「大声のどう喝」などを非難した。

 両親は「罪を認め反省することが、次の被害者を出さず、障害者が安心して過ごせる社会になる一歩だ」とする一方、今後、障害者を支援する制度やサービスが充実しても「障害者が貴い存在として尊重されなければ、制度が生かされることはない」と訴えた。

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 15日の判決公判では、女子中学生を蹴ったとして暴行罪に問われたホアロハの元児童指導員に、森里紀之裁判官は求刑通り罰金20万円を言い渡した。判決によると、被告は同施設の児童指導員だった20年5月14日午後4時すぎ、同施設内で、女子中学生の足を蹴る暴行を加えた。

 判決の理由について森里裁判官は「被害者が言うことを聞かなかったことにいらだちを覚えて足を蹴った。他にも被害者に粗暴な言動を繰り返していたことが認められる。反省の態度が見られない」と述べた。

神戸市の児童福祉施設で、知的障害のある女子中学生に暴行を加えた罪に問われた元施設長に、神戸地方裁判所は懲役1年、執行猶予3年を言い渡しました。
神戸市北区の放課後等デイサービス施設「ホアロハ」の元施設長・戸嶋清被告(45)は、2020年6月と8月に、施設に通う中学3年の女子生徒の顔を複数回殴るなどしたとして、暴行の罪に問われています。
女子生徒には、身体障害や知的障害があるということです。
23日の判決で、神戸地方裁判所の国分史子裁判官は「生徒が指示通りに行動しなかったことに一方的に腹を立て、暴行に及んでいる。その発想は安易かつ卑劣。他にも、顔に除菌スプレーをかけるなど、被害者の人格を軽視していた」と指摘。
一方で「行き過ぎた行動だと認め、反省している」などとして、戸嶋被告に懲役1年、執行猶予3年を言い渡しました。

神戸市の障がい者福祉施設で、女子中学生を暴行した罪に問われた元代表の男が、初公判で起訴内容を認めました。
神戸市北区の放課後等デイサービス「HOALOHA」の代表理事だった戸嶋清被告(45)は、今年8月、重度の障がいがある利用者の女子中学生に対し、頬を殴るなどの暴行を加えた罪に問われています。19日の初公判で戸嶋被告は「間違いないです」と起訴内容を認めました。検察は「過去にも脱いだ靴で殴るなどした」とする元職員の証言を挙げた他、「ほかの子どもたちにも『死んだらええ』などと怒鳴っていた」と指摘しました。この施設では、元職員の長谷川聡被告(51)も、同じ女子中学生に対する暴行の罪に問われています。

神戸市の放課後デイサービス施設で、障害のある女子中学生を暴行した罪に問われている男が初公判で起訴内容を否認しました。
起訴状によりますと、神戸市北区の放課後等デイサービス「HOALOHA」の元職員・長谷川聡被告(51)は5月、重度の障害がある利用者の女子中学生に足を蹴るなどの暴行を加えた罪に問われています。12日の初公判で長谷川被告は「足をはらっただけで暴行したわけではない」と起訴内容を否認しました。検察側は「本件以外にも数年前から児童に暴行を加えていた」と指摘。一方、弁護側は「足を軽く蹴り合うのはコミュニケーションだった」と主張しました。

 神戸市北区の放課後デイサービス施設で重度の障害がある利用者の中学3年の女子生徒(14)が虐待されていた事件で、暴行容疑で逮捕された施設長の戸嶋清被告(45)=同罪で起訴=が兵庫県警の調べに「言うことを聞かないから腹が立った」と供述していることが28日、県警への取材で分かった。県警は同日、同じ女子生徒に対する別の暴行容疑で、戸嶋被告を再逮捕した。
 再逮捕容疑は8月19日午後4時半ごろ、神戸市北区の放課後デイサービス施設「HOALOHA(ホアロハ)」で、女子生徒のほほをたたいたとしている。
 県警は今月7日、施設内でこの女子生徒を蹴ったなどとして、戸嶋容疑者と児童指導員の長谷川聡被告(51)=同罪で起訴=を逮捕していた。

 障害のある子が授業終了後などに通う放課後等デイサービス施設内で、通所していた女子中学生(14)を殴ったり蹴ったりしたとして、兵庫県警神戸北署は7日、施設長の戸嶋清容疑者(45)=神戸市須磨区横尾6=と、児童指導員の長谷川聡容疑者(51)=同市兵庫区本町1=を暴行容疑で逮捕した。日常的な虐待がなかったかなどについても調べる。
 逮捕容疑はいずれも施設「HOALOHA(ホアロハ)」(同市北区)内で女子中学生に対し、戸嶋容疑者が6月25日午前9時20分ごろ顔を両手で数回殴り、長谷川容疑者は5月14日午後4時10分ごろ足を蹴ったなどとしている。戸嶋容疑者は「はっきりと覚えていない」、長谷川容疑者は「暴力は振るっていない」と容疑を否認しているという。
 市は7日、児童福祉法に基づき、関連施設を立ち入り調査した。
 神戸北署によると女子生徒には身体障害と重度の知的障害があり、被害を訴えるなどのコミュニケーションを取ることが困難という。9月4日に市福祉局から「施設の職員が暴力を振るっている」と相談があり、事件が発覚。同署が裏付け捜査を進めていた。
 施設は戸嶋容疑者が代表理事を務める一般社団法人が運営。市によると、2014年に放課後や長期休暇中に障害のある子どもたちを預かるサービスを開始し、小学生から高校生まで十数人が利用していたという。現場近くの自営業の男性(70)は「知り合いが『施設の中から大声や荒っぽい声が聞こえた』と言っていた。厳しくしているのだろうと思っていた」と話した。【韓光勲、反橋希美】

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