県工業高1年生自殺 第三者委が報告書まとめる 遺族が調査と議論に感謝を伝える〈宮城〉

県工業高1年生自殺 第三者委が報告書まとめる 遺族が調査と議論に感謝を伝える〈宮城〉
仙台放送 2021/3/16(火) 12:28配信

2018年に宮城県工業高校の男子生徒が自殺した問題で、宮城県の教育委員会が設置した第三者委員会が報告書を取りまとめました。

この第三者委員会は、2018年に自殺した宮城県工業高校1年生の男子生徒の遺族が県教委に設置を求めたもので、3月15日、25回目の会合を開き、報告書を取りまとめました。
報告書は70ページを超え、自殺の一因とされる教師の不適切な指導や、県教委の初動対応の問題点に触れた上で再発防止策の提案が盛り込まれたということです。
また、会合には遺族が訪れ、2年余りに及ぶ調査と議論に感謝を伝えたということです。

第三者委員会委員長・東北大学長谷川啓三名誉教授
「遺族が『私たちの気持ちに沿っていただいた』と一言お礼を申し上げたいと、いらっしゃった。これを私たちも聞いて非常にうれしく思っております」

報告書は3月26日に県の教育長に答申されたあと、県のホームページで公開される予定です。

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仙台市の教育委員会は何人生徒を死に追いやれば気が済むんだ?

 男子生徒は反省文で「みんなができていることをできないというのは、みんなよりも劣っているということだと思います」と記した。提出物の遅れなどに触れ、「中学校では許されていましたが、高校では許されない」とし、「高校に入ったつもりでしたが、まだ中学生だったことに気付きました」などとつづった。
 宮城工高の西尾正人校長は昨年10月末の記者会見で「リポートへの指導は工業教育の範囲内と把握している」と説明した。宮城県教委高校教育課の伊藤俊課長は「反省文は第三者委員会の調査対象で、(自殺の背景を調査する上で)重要な資料の一つだ」との認識を示す。

 学校が一部を除いて在校生に男子生徒の自殺を知らせていなかったため、県教委は「自死を前提とした(在校生への)調査は難しい」(松本文弘教育次長)と判断。男子生徒の自殺前に校内で実施したいじめに関するアンケートの結果を踏まえ、「今回はいじめが原因と特定できないケースで、学校に再調査を指示しなかった」(伊藤俊高校教育課長)という。

 「希望を持って入った学校がまさか『軍隊』とは。真相を知り、息子を苦しめたものがあれば他の子のためにも排除したい」−。仙台市内の自宅で自殺した県工業高校1年の男子生徒=当時(15)=の父親(44)は31日、県教育委員会に第三者委員会設置を求める要望書を提出し、会見で胸の内を吐露した。
 父親によると、男子生徒は将来の就職に有利だと同校に進学、「いい学校だ」と希望を語っていたという。一方で、入学式当日のホームルームで担任の男性教諭が「クラスは軍隊のようなもの」と発言していたと家族に明かしていた。
 課題のリポートを徹夜で仕上げる姿を父親も見ており、「こんなのはリポートではない、やり直せ」などと突き返されたことを悩んでいる様子だったという。 担任は、他の生徒にもしばしば大声で怒鳴っていたといい、男子生徒は父親に「机を蹴りながら怒っていた」と話していた。
 亡くなる前日には、体育祭の練習のために父親とキャッチボールをした。「正直、異変は感じなかった。優しい子なので言わずに自分の中で思い悩んでいたのか」と父親は振り返った。
 遺族が学校側への不信感を強くしたのは自殺翌日の弔問時。「担任はお悔やみではなく、家庭訪問でもないのに息子を怒る言葉だけ言って帰っていった」といい、校長、県教委の訪問はなかったと説明。学校では男子生徒の自殺について、遺族側が伏せていないのに全校的に報告しておらず、真相究明に向けた生徒などのアンケートも行っていないという。
 「気持ちが分かっていない。自分の子が死んでこんな対応をされたらどんな気分か分からないのか」。父親は学校側の対応について、憤りをあらわにした。

 宮城県工業高校1年の男子生徒(当時15歳)が今年8月、仙台市内の自宅で自殺したのは、担任の男性教諭から日常的に罵声を浴びせられたり、部活動を禁じられたりしたことが原因として、生徒の父親(44)が31日、県と県教委に第三者委員会での調査を要請した。県教委は第三者委で調査する方針を示したが、同高の西尾正人校長は「(担任教諭の指導は)教育的指導の範囲内と認識している」と話した。
 父親によると、男子生徒は入学直後から担任に徹夜をしなければ終わらないほどの課題提出を求められたが、「やり直せ」と突き返されるなどし、6月ごろから部活動への参加も禁じられた。男子生徒は母親に「先生は俺にだけ強く当たる」と話していたという。担任が「別の生徒の机を蹴って怒る」とも話していたという。
 男子生徒は夏休み最終日の8月21日、自宅の自室で自殺しているのを母親が発見。同31日には、父親が同高の生徒が書き込んだとみられる「先生が人を殺すなよ」といった内容のツイッターを確認し、県警に相談した。父親はこの日に記者会見を開き、「先生の言葉によるパワハラで『指導死』だ」と訴えた。友人関係のトラブルは確認されておらず、遺書は見つかっていない。
 一方、県教委も記者会見し、男子生徒に課題の提出を要求したのは教科担当の教諭で「担任は直接の指導はしていない」と説明した。生徒の部活動を禁じたのも部活の顧問教諭で「勉強が遅れている場合はどのクラスでも部活動を止めて勉強に専念させる。全ての生徒に同じ指導をしている」と述べた。【本橋敦子、滝沢一誠】

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