1歳児預けた初日にうつぶせ寝で窒息死…5年経て和解 保育施設側『遺骨の前で謝罪』
MBSニュース 2021/3/17(水) 19:38配信
大阪市の認可外保育施設で、1歳の男の子がうつぶせ寝で窒息死し、両親が運営会社などを相手に謝罪と損害賠償を求めていた裁判で、3月17日に和解が成立しました。
浅野響翔ちゃん。5年前、大阪市淀川区の認可外保育施設に通い始めた初日、母親にバイバイと手を振った2時間後に命を落としました。当時1歳2か月、うつぶせ寝で心肺停止の状態で発見されました。この施設「たんぽぽの国」は、保育士を派遣する会社が運営し、大阪市も立ち入り検査の結果「保育士の人数など全ての基準を満たしている」と公表していました。両親が響翔ちゃんを人に預けたのは事故があった日が初めてでした。
(母親 浅野美奈さん)
「預けてしまってごめんという気持ちしかずっとなくて。あの時に預けなければ生きていた命ですし。」
事故後に大阪市が行った事故の検証部会で、保育や医学の専門家らは「昼寝の際に子どもの顔色や呼吸を確認せず、異変に気付いてから救急車を呼ぶのも遅かった」などと問題を指摘。しかしその後、施設側が法的責任は認めず、見舞金として300万円を支払うと提案したため、両親は「責任を認めて亡くなった息子に謝罪してほしい」と裁判に踏み切りました。
(父親 浅野誠さん)
「子どもを預けて安全である保育所を求めているのであって、ただ単に場所があって人がいるところは保育所ではない。」
裁判で施設側は“顔が横向けならうつぶせ寝は危険ではないと思っていた”とする一方、『事故当時は職員が不足して労働基準法違反の状態だった』と認めました。
そして今年3月17日朝、両親は響翔ちゃんの遺骨を裁判所に連れていく準備をしていました。
(母親 浅野美奈さん)
「助けてくれなかったし、響翔も顔も見たくないだろうけれど、響翔に直接謝罪がほしいという思いで、今回は悪いけど連れていくね、と言いました。」
裁判所は、保育士らが睡眠中の観察を怠ったことが死亡につながったと認定し、和解を勧告。和解条項には賠償金5000万円と、両親が絶対に譲れなかった“遺骨の前での謝罪”が盛り込まれました。施設の責任者と保育士らは「私の責任で響翔さんを両親にお返しできなかったことを謝ります。未来を奪ってしまって申し訳ない」と話しました。
(父親 浅野誠さん)
「初めから謝罪する気はあったのかと聞いた時に、謝罪する気はありましたという話をされたんですけれど、もし本当にそうであれば裁判は起きていなかったかもしれないし、こんなに月日が経つこともなかった。」
(母親 浅野美奈さん)
「(響翔ちゃんが)苦しくて声も出せずに心の中で助けを求めていたのは、私とか主人のことだと思うので、響翔に対してはどういう風に償っていけばいいのか、もう一度夫婦で考えたいと思います。」