奨学金をエサに…韓国の世宗大学、学生たちに「広報コメント」書かせた
ハンギョレ新聞 2021/3/23(火) 14:09配信
学生広報記者たちに コメント1件当たり奨学金の名目で金銭を支給 入試コミュニティなどに年間数千件のコメント 大学側「強制的にさせたことはない」
世宗大学が2015年から「学校広報記者」という名で学生を募集し、年間最大で数千件の大学広報コメントを受験生コミュニティやポータルサイトに組織的に作成していたことが分かった。同大学側はコメントを書いた学生に対し「奨学金」の名目で金銭を支給していたが、学生たちは「プレッシャーを感じた」と打ち明けた。
22日、ハンギョレが入手した「コメント実績現況」という同大学内部の資料によると、昨年1月から今年2月までの1年1カ月の間、世宗大学広報記者団の学生約10人を含め、教授、教職員らは「ネイバー知識人」や「受万フィ」(韓国最大の入試コミュニティ)などのポータルやコミュニティサイトに計4200件以上のコメントを作成していたことが分かった。学生たちは「広報記者」の名でではなく、個人IDでコメントを書き込んだ。
これは入試専門企業「ユーウェイ」のコンサルティングによるもの。2015年7月27日にユーウェイが世宗大学に送った「世宗大学校広報大使&記者団活動計画」という文書によると、ユーウェイは「受万フィ」「ネイバー知識人」に掲示された世宗大学に関する質問に広報記者団が返答コメントを書き込む案を提示した。具体的な「回答作成ガイドライン」も提供していた。
世宗大学は、ユーウェイのコンサルティング後、すぐにこのような内容を実施した。四半期ごとに10人前後の学生を広報記者団に選び、広報室がコメント作成の指針を伝えた。これに対し、学生らはコミュニティに入り「世宗大」「世宗大学校」を検索した後、「回答待ちの質問」のうち最も最近登録された質問、または大学・学科の比較についての質問に順番にコメントをつけた。広報室はコメントを書いた学生に、コメント1件当たり最低時給の半分(2021年基準で30分当たり4360ウォン、約420円)を勤労奨学金として与えた。また、最大認定時間を月20時間に設定し、学生1人当たり1カ月で最大40件のコメントを書かせていた。
学生たちは特に、大学入試を控えた受験生・学生が大学の序列、学科の序列を問う質問に集中的に答えていた。広報記者団として勤務した経歴のあるAさんは本紙の電話インタビューで「大学を比較する質問に対し、入試結果表や“インソウル(ソウルの大学)”など、学校の地理的位置などを推して、比較対象の他大学よりも良いという趣旨のコメントを書けというのが大学側の希望する方向性だった」とし「コメント1件につき0.5時間と認めて奨学金をもらっていたので、プレッシャーを感じていた」と打ち明けた。
組織的な広報コメント作成が発覚しないよう気を使っていた情況もうかがえる。「ネイバー知識人」では、広報コメントを書き込むアカウントに不利益を与えるネイバーの方針を考慮し、パソコン1台当たり1つのアカウントでアクセスすることを原則としていた。IPアドレス変更プログラムを使い、2〜3個のアカウントを交互に使用しコメントを書き込むこともあった。これはユーウェイの「ガイドライン」に従ったもので、定期的にIPを変更し、広告コメント作成が発覚しないようにしていたものとみられる。Aさんは「学生本人のものを含め、家族のIDを2〜3個作ってコメント作成に使用した」と語った。ユーウェイのガイドラインには、高校生と受験生が主に訪れるオンラインカフェ「受万フィ」では、高校生、浪人生、大学生の先輩のように言葉遣いを設定してコメントを書くようにとの内容もある。
これについて世宗大学の関係者は「オンライン上で本学に関する問い合わせが数千件ずつ上がってくる。広報記者が自分の学科に関する質問に自ら答えているが、強制的に(返事を)させたことはない」と強調した。さらに「広報室の職員や大学教職員、担当教授らも回答しており、(コメント実績は)実際に学生たちが書き込んだものよりも誇張されている。同じ趣旨で記者団を運営している他の大学も多い」と付け加えた。ユーウェイ関係者は「2015年当時の担当者たちが退社したため(文書の内容については)正確にわかる者がいない」と答えた。
チャン・ピルス記者 (お問い合わせ [email protected] )