元局長、不正入学の依頼否定 会食時の録音「一般論」 文科省汚職・東京地裁

元局長、不正入学の依頼否定 会食時の録音「一般論」 文科省汚職・東京地裁
時事通信 2021/4/19(月) 19:23配信

 文部科学省の私立大支援事業をめぐる汚職事件で、受託収賄罪に問われた同省元局長、佐野太被告(61)らの公判が19日、東京地裁(西野吾一裁判長)であった。

 佐野被告は被告人質問で、東京医科大に息子の不正入学を依頼したとする録音内容について「一般論で、何か特定のことをお願いしたわけではない」と述べ、依頼の趣旨を否定した。

 録音は2017年5月、同省官房長だった佐野被告と同大前理事長、臼井正彦被告(80)=贈賄罪で起訴=の会食時、同席した医療コンサルタント会社元役員谷口浩司被告(50)=受託収賄ほう助罪で起訴=が行った。検察側は、便宜供与の見返りに不正入学を依頼した証拠とみている。

 佐野被告は、会食時に息子の入試成績の優遇を依頼するような発言は全くしていないと述べた上で、録音で臼井被告が「うちに予約しておいでになって」と発言したことについて「息子に対する優遇措置を意味しているとは常人には理解不可能だ」と反論した。

 支援事業制度を説明させるため、文科省の担当者を東京医大側に紹介したことはあったが、それ以外の依頼は受けていないとし、「息子の大学受験と支援事業を関連付けたことは一度もない。公募事業の選考は厳正な審査が行われ、官房長といえども口出しや関与は一切できない」と述べた。 

 文部科学省の私立大学支援事業を巡る汚職事件で、贈賄罪で起訴された東京医科大の臼井正彦前理事長(77)と鈴木衛前学長(69)が、今後開かれる公判で起訴内容を否認するとみられることが、関係者への取材で明らかになった。
 2人は、同省官房長だった佐野太被告(59)=受託収賄罪で起訴=に同省の私立大学支援事業で同大が対象大学に選ばれるよう助言を依頼した見返りに、佐野被告の息子を同大に不正合格させたとする罪に問われている。2人とも捜査段階では贈賄容疑を認めていたため逮捕されず、在宅起訴されていた。
 佐野被告と臼井前理事長を仲介したとして受託収賄ほう助罪などで起訴された元医療コンサルティング会社役員、谷口浩司被告(47)と、佐野被告も同様に起訴内容を否認するとみられる。【巽賢司、遠山和宏、金寿英】

 宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))に出向していた文部科学省の局長級幹部を巡る接待汚職事件で、収賄容疑で逮捕された同省前国際統括官・川端和明容疑者(57)(26日付で大臣官房付)が、遅くとも2011年頃から医療コンサルティング会社元役員の接待を繰り返し受けていたことが関係者の話で分かった。東京地検特捜部は27日、JAXAの筑波宇宙センター(茨城県つくば市)を捜索した。
 同省の私大支援事業を巡り、受託収賄罪で起訴された同省前局長・佐野太被告(59)も長年、元役員と親密な関係にあり、幹部と業者の癒着を見過ごしてきた同省の体質が厳しく問われそうだ。
 川端容疑者は、JAXA理事だった15年8月〜昨年3月、贈賄容疑で再逮捕された医療コンサル会社元役員・谷口浩司被告(47)(受託収賄ほう助罪で起訴)の業務に便宜を図った見返りに、都内の飲食店などで複数回にわたり計約140万円相当の接待を受けた疑いが持たれている。
 川端容疑者は1984年に旧科学技術庁に入庁。科学技術・学術政策局や研究開発局の課長などを経て、2011年7月に「出世ポスト」とされる総務課長に就任した。この頃から谷口被告と一緒に飲みに出かける姿が目撃されており、関係者によると、飲食だけでなく、高級風俗店や高級クラブで接待を受けたり、ゴルフ用品を贈られたりしたこともあったという。

 文部科学省の私立大学支援事業をめぐる汚職事件で、前科学技術・学術政策局長の佐野太(ふとし)容疑者(58)=受託収賄(じゅたくしゅうわい)容疑で逮捕=の息子を不正に合格させたとされる東京医科大学(東京都新宿区)が、数年前まで毎年10人前後の受験生を不正に合格させていた疑いがあることが14日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は不正合格者のリストを入手しており、裏口入学の常態化が事件の背景にあるとみて調べている。
 特捜部の発表などによると、東京医科大の臼井正彦前理事長(77)は、文科省の「私立大学研究ブランディング事業」の選定で佐野容疑者に便宜を図ってもらうよう依頼。見返りとして、鈴木衛前学長(69)とともに、今年2月の入試で、佐野容疑者の息子の点数を加算して不正に合格させるよう担当職員らに指示した疑いがある。
 大学関係者によると、同大の入試では、数年前まで政治家や中央省庁の幹部の子供らが受験した際、面接や小論文などが課される2次試験後に点数が足りなければ加算し、合格できるようにしていたという。
 こうした不正な操作は学長をトップとする入試委員会で行われていたといい、「理事長案件」として、臼井前理事長の意向が強く反映されたケースもあった。
 産経新聞の取材に対し、東京医科大の担当者は「入試関係はまさに捜査の核心部分であり、捜査に支障が生じる恐れがあるので過去のことを含めて答えられない」としている。

 文部科学省の私立大学支援事業を巡る汚職事件で、受託収賄容疑で逮捕された同省前局長の佐野太容疑者(58)が昨年5月、東京医科大学(東京)の臼井正彦前理事長(77)と会食し、「息子の第1志望なのでよろしく」と伝えていたことが関係者の話でわかった。東京地検特捜部が2人のやりとりを録音した音声データを入手していたことも判明。佐野容疑者は容疑を否認しているが、特捜部は、佐野容疑者が息子の合格を要求したとみて調べている。
 佐野容疑者は、同省官房長だった昨年5月、同省の支援対象校に同大が選定されるよう便宜を図ることを臼井前理事長から依頼され、その見返りに息子を同大に合格させてもらった疑いで逮捕された。臼井前理事長と鈴木衛(まもる)前学長(69)は特捜部の任意の事情聴取にこうした経緯を認めており、特捜部は2人を在宅のまま贈賄容疑で捜査している。

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