減らないわいせつ行為で処分の教職員 地位・関係性を利用した性暴力

減らないわいせつ行為で処分の教職員 地位・関係性を利用した性暴力
朝日新聞デジタル 2021/4/20(火) 20:00配信

 文部科学省によると、2019年度にわいせつ行為で処分された公立小中高校などの教職員は273人で、前年度の282人に次いで過去2番目に多かった。児童生徒へのわいせつ行為で処分された人は、半数近い126人(免職121人)に上った。
 教師からの子どもへの性暴力は、地位・関係性を利用した性暴力の典型と言われる。圧倒的に教師が上の立場で権力を持つため、暴行や脅迫を伴わなくても性暴力が起きる。
 長年、性暴力の問題に取り組んできた目白大学専任講師(臨床心理学)の斎藤梓さん(41)によると、加害する教師は「君のためだ」「指導だ」などと言い、子ども側はたとえ「いやだな」「変だな」と思ったとしても、教師の主張に巻き込まれて「被害」と認識しにくい。周囲に知られると学校に行きにくくなると思い、子どもが被害を申告するのも難しいという。
 斎藤さんは「教師からの性暴力は発覚しにくく、継続される傾向が強い」と指摘する。「被害を受けると、子どもは大人や学校、社会を信用できなくなる。信頼する教師からの性暴力のダメージは極めて深刻。自尊心が著しく低下し、自傷行為や摂食障害に苦しむ人も少なくない。性暴力被害のせいで進路などがうまくいかなくなることもあり、人生に大きな影響を受ける」と話す。
 福岡県では、性暴力根絶条例に基づき、昨年度から県内の公立の小中高校などに、養成した性暴力対策アドバイザーを派遣し、性暴力についての授業を始めた。子どもたちを被害者にも加害者にもしないことを目的とする。2022年度からは公立の全校を対象にする予定だ。
 斎藤さんはこうした取り組みを評価する一方、大人側の認識にも警鐘を鳴らす。「性暴力をキャッチする大人の感度が低い。子どもから相談があったら、それは『性暴力』だときちんと説明し、対応してほしい。子どもの訴えがあったら、矮小化や過小評価をせず、真摯に受け止めることが必要だ。学校は捜査機関ではないので、速やかに警察と連携をとってほしい」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする