近大元教授の部下も虚偽報告書に関与か 司法解剖検査料水増し
毎日新聞 2021/7/17(土) 19:53配信
近畿大医学部法医学教室の元主任教授が大阪府警から委託された司法解剖の検査料を詐取したとされる事件で、元教授の部下が検査料の水増しに関わった疑いがあることが関係者への取材で判明した。府警に提出された虚偽の報告書は、部下が作成していたとの情報がある。府警は法医学教室を率いる元教授が指示していた疑いもあるとみて、実態解明を進める方針だ。
元教授は詐欺容疑で再逮捕された巽信二容疑者(66)=懲戒解雇。2015〜21年の過去6年間に申告した795件について、細菌や薬毒物などの検査数を水増しする手口などで報告書を作成。大学を通じて府警に不正請求した計約5100万円の検査料をだまし取った疑いが持たれている。府警は別の人物と共謀して不正を繰り返していたとみている。
関係者によると、検査数が偽装された報告書は巽容疑者名義だったが、法医学教室で業務を補佐する部下も作成に携わっていた疑いがある。巽容疑者が解雇された21年3月時点で、教室には16人のスタッフが在籍していた。府警は教室関係者への事情聴取を進め、詳しい経緯を調べている。
一方、府警から近大に支払われていた解剖委託費(検査料を含む)の約9割が、法医学教室の運営費に充てられていたことも判明した。運営費の活用方法は教室トップの主任教授に権限が委ねられていた。
巽容疑者は医療用品の購入を装い、運営費から計約3900万円をだまし取ったとする詐欺などの罪で起訴されている。ゴルフ用品や家電製品などを購入して私的流用していた疑いも判明している。府警は解剖検査数の水増しや架空請求を通じて運営費をより多く獲得することで、巽容疑者が詐取金の原資を確保しようとしていた疑いがあるとみている。【沼田亮、木島諒子】