「男性保育士が園児にわいせつ」 調査前に退職、再就職先に伝えず
毎日新聞 2021/8/24(火) 2:00配信
愛知県尾張地方にある民間保育所の20代男性保育士が、複数の園児にキスをするわいせつ行為をしたとして、保護者から園に訴えがあり、詳しい調査や保護者説明会の前に自主退職していたことが、園のある自治体などへの取材で明らかになった。保育士はその後、名古屋市内の障害を持つ児童が通う放課後等デイサービスに再就職したが、自治体や園はこの問題を伝えていないという。
自治体の担当課などによると6月17日、保育士が担任を務める年長クラスの女子園児にキスをしたとして女児の保護者が園に相談した。園の聞き取りに対し、保育士は「自分からキスしたのではない」と故意を否定した。園はその後、他にも複数の女児が同様の行為をされていたことを把握。7月4日に園の報告を受けた自治体は担任から外すよう指導し、担任を外された保育士は7月末で依願退職したという。
最初の女児以外の被害児童の保護者に対する聞き取りは8月になってからで、既に本人が退職していて調査に限界があるという。園によると、保育士は2019年11月からパートとして勤務し、21年4月に正規職員に採用されクラス担任になっていた。
園は被害児童の保護者に謝罪し、8月28日に保育士が担任だった学年の保護者への説明会を開く。毎日新聞の取材に女性園長は「信用していた先生だった。あってはならないことで、保護者には真摯(しんし)に説明したい」と話した。保育士の再就職先への情報共有も検討するという。
一方、自治体による県への報告は8月10日になってからで、県子育て支援課は「自治体には早めの情報共有をしてもらいたかった。深刻な事案と捉えている」と話した。県は今後、園への聞き取り調査を予定している。【川瀬慎一朗】
◇「園の対応は二重の裏切り行為」
名古屋短期大教育保育職支援センター長の小島千恵子教授(保育学)の話 園に訴えがあった時点で、きちんと警察に相談すべきだった。保育士のわいせつ疑惑に加え、依願退職で済ませた園の対応は、保護者・園児への二重の裏切り行為だ。