小中学生のiPad操作履歴、保護者の同意得ず保存 個人情報の取り扱い「認識不足で申し訳ない」 山口県岩国市教委
中国新聞デジタル 2021/9/27(月) 6:06配信
山口県岩国市内の小中学生に配布されているタブレット端末について、アクセス履歴などを記録する「操作ログ」を、市教委が保護者に目的を告げないまま保存していたことが分かった。市個人情報保護条例に抵触する可能性があるとして、同意を得る手続きを進める。
市教委は3月末、国の構想に基づき、小学3年以上の全児童生徒にiPad(アイパッド)7786台を配った。各校は4月以降、調べ学習や体育の動画撮影などで活用している。
端末を学習で使う際、インターネットの閲覧履歴や通信履歴がクラウドサービスなどを提供する事業者のサーバーに保存される。市の個人情報保護条例では個人情報に当たるとされ、データを集める際に目的を当事者に示し、同意を得る必要があるという。だが市教委が個人情報の取り扱いについて承諾を得る文書を学校を通じて保護者に配布したのは9月上旬だった。
市教委の三浦成寿教育次長は「認識不足で申し訳ない。学校で端末を使い始める時期に保護者の同意を得るべきだった」と説明する。遅れた理由は「学校の指導下での活用は問題ないと考えていた。冬休みに端末を自宅に持ち帰る時期に向けて、きちんと手続きをした」としている。
奈良教育大の伊藤剛和教授(教育工学)は「ログは学習の振り返りや自ら学ぶ力を養うために役立つ」とした上で「教育内容や条例への位置付けと併せ、しっかり保護者の理解を得る必要がある」としている。