関西大と違法残業告発の付属校教諭が和解 解雇撤回で 大阪地裁

関西大と違法残業告発の付属校教諭が和解 解雇撤回で 大阪地裁
毎日新聞 2021/10/19(火) 18:00配信

 学校法人「関西大学」(大阪府吹田市)の付属学校の教諭だった50代男性が4年前、違法残業の実態を労働基準監督署に申告した後に解雇されたのは不当だとして、法人に解雇の無効と計100万円の慰謝料などを求めた訴訟が、大阪地裁で和解したことが判明した。和解は9月30日付。法人側が解雇を撤回し、退職扱いとする内容で合意した。

 訴状などによると、男性は関西大付属の初等部・中等部・高等部(同府高槻市)の教員組合に所属していた。中・高等部で働いていた2017年3月、長時間の過重労働が続いている実態を茨木労働基準監督署(同府茨木市)に申告した。

 労基署は労使協定を結ばずに教員に残業をさせ、詳細な勤務時間を把握していない点を違反と認定。残業代も未払いになっているとして、法人に17年4月以降、数回にわたり是正勧告した。労働基準法は、使用者が1日8時間を超えて労働者を働かせる場合は労使協定の締結を義務づけている。

 法人が勧告後に付属小中高の教員の残業時間を調査した結果、大半が法定の8時間を超えて勤務。最長で年間2000時間超に達し、残業時間の「過労死ライン」(月80時間)を大幅に上回る教員がいたことも発覚した経緯がある。

 一方、男性は労基署への申告から半年が過ぎた17年10月、学校長から生徒指導に関する問題を理由に自宅待機を命じられ、18年4月に解雇された。男性側は翌5月、法人を相手に提訴し、「解雇は労基署への申告に対する報復で不合理だ」と主張。法人側は「教育者として適格性を欠く言動があったことが解雇理由で、申告とは無関係」と反論したが、関係者によると、地裁が21年7月に双方に和解を勧告していたという。

 法人の担当者は「訴訟が長期間にわたったが、双方が歩み寄った形になった」とコメントした。【芝村侑美】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする