山梨・北杜中1いじめ 第三者委、学校側の不適切な対応を認定

山梨・北杜中1いじめ 第三者委、学校側の不適切な対応を認定
毎日新聞 2021/11/4(木) 21:52配信

 山梨県北杜市で2017年に自殺を図った当時中学1年の女子生徒(17)がいじめ被害を訴えたにもかかわらず、学校側が「重大事態」と判断しなかった問題で、市教育委員会が設置した第三者委員会は4日、学校や市教委の対応に関する最終報告書を公表した。一連のいじめ行為や学校側の不適切な対応を認定し、いじめ防止に向けた対策や被害生徒の救済を求めた。

 報告書などによると、女子生徒は東京電力福島第1原発事故後に福島県を離れ、小学生だった13年に市内へ移住したが、仲間はずれにされるなどのいじめを受けた。17年に中学に進んでからは学級で孤立し、同11月に自宅で自殺を図った。翌12月に学校のアンケートで「無視、仲間はずれにされている」などと回答し、教職員らに相談したが適切な対応がなされず、18年1月から不登校となった。

 学校側は17年12月時点でいじめを把握したが、いじめ防止対策推進法が規定する重大事態と認定せず、実態が報道で表面化する18年11月まで具体的な対応がとられなかった。

 第三者委は甲府市で記者会見を開き、10月27日に最終報告書を北杜市教委に提出したと説明。八巻佐知子委員長は、女子生徒が被害を訴え出る以前にいじめの予兆が度々あったにもかかわらず、学校が適切な介入をしなかった点を問題視。市教委については不登校状態との報告を学校から受けた18年2月時点で、女子生徒は入院を勧められるような精神状態で「初期段階で重大事態と考えうる状態だった」と指摘した。

 同席した市教委の輿水清司教育長は「被害生徒・保護者と、学校・市教委との信頼関係が失われてしまったことが一番大きかった」と対応を反省。重大事態に実効的に対処する「いじめ問題専門委」の常設化に向け、条例改正などの対応を検討するとした。

 一方、女子生徒の母親(40)も同日記者会見し、娘の進学先の県立高に、いじめに主体的に関与していた生徒が在籍し苦痛が続いていると主張。「被害が断ち切れていない状態を重大事態と認め、直ちに必要な措置を採ってほしい」と述べ、県教委に要請する考えを明かした。【梅田啓祐】

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