検察が“深々と頭を下げ”異例の開示「取り調べメモ」 旧天竜林業高校成績改ざん事件

検察が“深々と頭を下げ”異例の開示「取り調べメモ」 旧天竜林業高校成績改ざん事件
テレビ静岡NEWS 2022/2/11(金) 22:03配信

旧天竜林業高校の調査書改ざん事件で、えん罪を訴えている元校長側が会見し、新たに検察が開示した取り調べのメモには、一部「不自然に」欠けた部分があるとして、裁判所と検察にさらなる開示を求めたということです。

この事件は2006年から2007年にかけ、元天竜市長の中谷良作氏が孫の大学進学を元校長の北川好伸氏に依頼し、元校長は調査書の成績を改ざんした見返りに現金を受け取ったなどの罪で2010年に有罪判決が確定しました。

しかし元市長がその後、現金を渡したとの証言はうそだったと謝罪し、一貫して無罪を主張していた元校長は再審開始を求め申し立てを行い、2021年に最高裁に特別抗告をしています。

開示された「取り調べメモ」とは

弁護側によると今回最高検が開示したのは「取り調べ雑記帳」と書かれた書類でした。

2008年8月21日から10月14日までに行われた元市長・中谷氏の取り調べの様子を2人の警察官が記したものです。中谷氏が否認と自白を繰り返した時期のもので、手書きのメモとワープロ打ちのもの、合わせて318ページ分でした。

この取り調べメモを調べた弁護側によると、元市長に執拗に自白を迫ったり、取り調べが朝9時から夜9時まで長時間行われていた日もあったということです。

弁護側は新たに出てきた証拠で新規性があり、元市長の現在の証言の正しさを裏付けているとして、元校長の無実を証明する有力な証拠だとしています。

北川好伸 元校長:
警察が前もって作った根拠も証拠もないシナリオ通りに、事件を作り上げようという魂胆・意図を読み取ることができました。警察は元市長を執拗に追い詰め、虚偽の自白を求めている。まだ私の闘いはこれからも続くと思い知らされた

検察の支部長が深々と頭をさげ…

弁護側によると今回の取り調べメモが開示された経緯は異例だったということです。

もともと2015年6月に裁判所が三者協議の中で検察に開示を求めていましたが、8月に検察は「全面不開示」とし、9月に裁判所が証拠開示を勧告しました。

これを受け検察は10月に一部を開示しますが、今回はその際に出すべき証拠だったと検察から説明を受けたということです。

弁護側が最高検から連絡を受けて出向くと、地検浜松支部の支部長が深々と頭を下げて「当時の担当検事による証拠の精査が不十分だった」と説明したということです。

いまだ開示されてない部分も

ただ一部は黒塗りの状態で、供述を誘導したような形跡もあるため、黒塗り部分の開示を求めていくということです。

また弁護側は手書きのメモが欠落していると思われる期間が、元市長が自白に転じる前後数日間分あると指摘しています。

海渡双葉 弁護士:
中谷氏が9月9日に自白に至るんですが、3日から11日の手書きメモが完全に欠落していることがわかりました。これは明らかに不自然。今回開示されているもので全てではない、一部欠落しているのではないか

弁護側は、最高裁と検察にさらなる開示を求める上申書を提出したということです。

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