上智大が美術評論家・林道郎教授を、元教え子との“不適切な関係”で懲戒解雇 女性がコメント
日刊ゲンダイDIGITAL 2022/3/5(土) 16:27配信
学校法人上智学院は3月4日、美術評論家として著名な上智大学国際教養学部・教授を懲戒解雇したことを発表した。処分は2月28日付。
上智大は曄道佳明学長の名義で、「調査の結果、同教授が学生(当時)と不適切な関係を持つに至り、本学の求める高い倫理観に基づき学生の模範となるような教育者の姿から逸脱した行為を行ったと認められたことによるものです。このことを重く受け止め、心よりお詫び申し上げるとともに、今後、再発防止に全力を尽くします」とコメントをした。
林氏は2007年当時、大学院生だった教え子と性的関係をもち、自身の業務に関して無償労働などもさせていた。2人の関係は10年以上続いたが、21年に元教え子の女性から民事裁判が提訴され、裁判は現在も係争中である。
教授であり妻帯者でもある林氏が学生との関係について「自由恋愛」「2人の関係は対等」などと裁判で主張している問題について詳報した。
その後も美術専門誌と「弁護士ドットコム」が次々に林氏について「セクハラ」「アカハラ」と批判的に報道。「Gender Equality for Sophia」という学生団体が林氏のハラスメントに対する処分を上智大学に求めて署名活動する事態にまで発展。1万2000筆以上の署名が集まり、署名は上智大に提出されていた。
取材の最中、林氏は本件と関係ないとしつつも。上智大教授職についても早期退職をしようとしていたともされるが、今回、「懲戒解雇処分」という大学当局による極めて重い処分を受けるに至った。
公表日(3月4日)に上智大は、元教え子の弁護人に対しても林氏の処分について連絡してきたという。元教え子は同日、日刊ゲンダイDIGITALに対して次のようにコメントを寄せた。
「在学中の学生やこれから大学に進学する生徒への注意喚起や気づきのきっかけになるような結果になって欲しかったので、それが少しでも叶ったかと思います。また、前に被害を受けたことがある方々も、声を発したいというお気持ちがあれば、そのきっかけになって欲しいと願っています」
もうすぐ4月の入学シーズンを迎え、多くの若者が進学することになる。一方で、大学の処分が出たとはいえ、林氏と元教え子は民事裁判でまだ争っており、さらに元教え子は林氏の妻からも訴訟を起こされている。こちらは3月下旬に東京地裁で判決が出る予定だ。今回の大学の判断が裁判にどのような影響を与えるのか注視したい。