日大・田中前理事長に懲役1年、罰金1600万円求刑…所得税法違反
読売新聞オンライン 2022/3/7(月) 18:05配信
日本大学の関連事業で受け取ったリベートなどを税務申告せず、脱税したとして、所得税法違反に問われた日大前理事長・田中英寿被告(75)の公判が7日、東京地裁(野原俊郎裁判長)であった。検察側は論告で「理事長という立場を利用して受領した多額の現金をすべて申告しておらず、刑事責任は重大だ」と述べ、懲役1年、罰金1600万円を求刑した。弁護側は最終弁論で執行猶予付きの判決などを求めた。
田中被告は最終意見陳述で「世間を騒がせて大変申し訳ない」と謝罪。「学生らに無用な不安を抱かせ、深く反省している」と述べた。公判はこの日で結審し、判決は29日に言い渡される。
起訴状などでは、田中被告は2018年と20年、大阪市内の医療法人「錦秀会」前理事長・籔本雅巳被告(61)や日大元理事の井ノ口忠男被告(64)(いずれも背任罪で起訴)らから受け取ったリベートなど計1億1820万円を申告から除外し、所得税計約5200万円を脱税したとしている。
検察側は論告で、田中被告は08年に理事長に就任後、学内に絶大な影響力を持ち、日大の関係業者などから現金を受領するようになったと指摘。15年に東京国税局から所得税の申告漏れを指摘された後も籔本被告らから謝礼などを多数回受領したとして、「リベートを隠蔽(いんぺい)するための犯行で、酌量の余地はない」と批判した。
弁護側は最終弁論で「『謝礼』などとして提供された現金の申告は、はばかられた」と説明。すでに修正申告したとして「寛大な判決を願いたい」と訴えた。