同僚教員が暴行「もみ消しでうつに」 県と町、被害男性と和解へ 仙台地裁
河北新報 2022年3月3日 11:15
勤務先の宮城県大和町の中学校で、同僚教員から暴行を受けた事件を元校長らがもみ消そうとしたことでうつ病を発症したとして、40代男性と妻が町と県に慰謝料など計1億626万円を求めた訴訟で、町と県は和解する方針を決めた。解決金2860万円は町が支払う。町と県はそれぞれ開会中の定例議会に関連議案を提出した。
仙台地裁の和解案は町と県に解決金の支払い義務を認め、改善策にも言及。町立学校内で職員間の暴力などが起きた場合、町が適切な調査、報告を行うことや、被害を受けた職員に公務災害申請の指導、援助をすることなどが盛り込まれた。
訴えによると、男性は2011年9月、職員室で同僚の男性教員から暴行を受けて首にけがを負い、同僚教員は暴行罪で罰金刑を受けた。当時の校長は事件後2週間対応せず、男性に異動願の提出や公務災害申請を断念するよう度々促したとされる。
男性は同11月にうつ病と診断され、16年9月に公務災害と認定された。
勤務先の中学校の元校長らが同僚教員からの暴行事件をもみ消そうとしたことにより、うつ病を発症したとして、宮城県大和町の中学校に在籍する40代男性教員と妻が29日、町と県に慰謝料など計1億626万円を求める国家賠償請求訴訟を仙台地裁に起こした。
訴状によると、男性教員は2011年9月、職員室で同僚の男性教員から暴行を受け、首にけがを負った。同僚教員は暴行罪で罰金刑を受けた。当時の校長は暴行事件の発生から2週間、対応を放置した。校長らは再三、男性に異動願の提出や公務災害申請の断念などを要求。男性は同11月、うつ病と診断され、16年9月に公務災害と認定された。
男性は11年11月から、休職を繰り返しているといい「ひどい嫌がらせにより精神状態を悪化させた。(学校側の)安全配慮義務に違反する」と主張している。
提訴後に男性は仙台市内で記者会見し「同じように悩んでいる教員がいるはずだ。ハラスメントは組織の問題であり、子どもにも影響を及ぼしかねない」と訴えた。
河北新報社の取材に、町教委教育総務課は「訴状が届いておらず、コメントできない」、県教委教職員課は「訴状を確認した上で、対応を協議したい」とそれぞれ話した。