旭川医科大、学長解任取り下げ 「断腸の思い、新体制発足を優先」

旭川医科大、学長解任取り下げ 「断腸の思い、新体制発足を優先」
毎日新聞 2022/3/4(金) 10:55配信

 パワーハラスメントや不適切発言が問題となった旭川医科大(北海道旭川市)の吉田晃敏学長の辞任届を文部科学相が受理したことを受け、大学の学長選考会議が3日、同市内で記者会見を開いた。奥村利勝議長(同大教授)は解任請求を取り下げたことについて「断腸の思い」と語り、年度内の新体制発足を最優先に考えた結果だと強調した。

 吉田氏は3日付で辞任。奥村議長などによると、解任であれば原則として退職金は払われないが、辞任となったため、経営会議で議論し、減額して支払う方向で検討するという。

 奥村議長は「吉田氏が解任されるべきだという判断は変わっていない」とした上で、「文科省は法令に基づき慎重に判断する考えで、結論が出るまでかなり時間がかかると考えられたことから、断腸の思いで解任の申し出を取り下げることにした」と述べ、2月25日に取り下げたと明らかにした。

 選考会議は2021年11月、次期学長予定者に西川祐司副学長を選出。今月2日に西川氏の任命を文科相に申し出た。閣議決定を経て4月1日付で西川氏が新学長に就任する見込みという。

 吉田氏から同大付属病院の院長を解任された古川博之氏は毎日新聞の取材に対し、吉田氏の辞任について「ふに落ちない感じもするが、次期学長予定者も決まっており、大学を正常化し前に進むためには仕方が無い」と話した。病院長は古川氏が解任されてから1年1カ月以上不在のまま。古川氏は「病院は機能しているが正常な形ではない。医師や学生のために後任の病院長を早く決め、患者さんを安心させてほしい」と語った。

 吉田氏を巡っては、新型コロナウイルス対応で古川氏に辞任を迫ったパワハラや学長特別補佐に対する不適切な支出など34件の問題を理由に、選考会議が解任を申し出ていた。【土屋信明】

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