「ぶっ殺すぞ」「産み直してもらえ」と子どもが言われても…強豪バレーボールクラブ監督の暴言を黙認し続けた“毒親たちの勝手すぎる理由”
『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』より #1
島沢 優子
文春オンライン 2022/05/05
Aの行動に疑問を持つ3家族(編集部注:沙希、真理・孝夫妻、玲の3家族、4名の親に著者が取材、以下全員仮名)の息子たちは、全員小学1年生で入部。当時すでにスポーツ界、教育界が暴力根絶宣言をしていたにもかかわらず、Aから容赦なく暴力をふるわれた。レシーブ練習の際、至近距離からボールを投げつけ手を骨折させられた。顔を狙われ、避けようと挙げた手を弾かれるのだ。投げ飛ばされ、髪を引っ張られた。
「娘さんが叩かれたこと、だれかに言った?」30人に囲まれて4時間の“犯人探し”…パワハラ監督を守る毒親たちの“ヤバすぎる倫理観”
『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』より #2
島沢 優子
文春オンライン 2022/05/05
そして、発言の中に頻出するのが「全国大会」の4文字だった。
「全国大会に出るために練習しているのに」
「全国大会に出るために一致団結しなければ」
全国大会に出るためならば倫理も人権も吹き飛んでしまうところは、本書の第1章で伝えたバレークラブとまったく同じだった。
リークした者を「犯人」に仕立てる異様な空気のなか、卒団生やその親たちは現役選手の親たちを「どうして今更こんな話が出たのか」と終始責め立てた。名指しこそなかったが「自分に対するものだと思った」(美香)。なぜなら、発言する者が全員ちらちらと、もしくはにらみつけるように美香のほうを見るからだ。