大島商船、いじめ防止を報告 15歳の自殺から6年の命日
共同通信 2022/5/21(土) 19:09配信
山口県の大島商船高専で2016年に男子学生=当時(15)=が自殺し、再調査委員会が同級生のいじめが原因とした問題で、学生の命日となる21日、学校側がいじめ防止対策の取り組みについて学生の母親に報告した。母親と校長らが学内で追悼のため献花。その後母親は記者会見で「少しずつだが学校も変わってきている。そう息子に報告した」と涙ながらに話した。
男子学生は入学から1カ月半後の16年5月21日未明ごろ、校舎から飛び降りた。6年後の命日となった21日午後、現場近くで母親が花を手向け、学校関係者らと黙とうした。
大島商船高専でいじめを苦に男子学生が自殺した問題で、最終報告書の提出以降、今月12日に初めて学校から遺族への説明がありました。遺族は会見を開き、学校への不信感を示しました。
「2か月間何もなかったことに関して、ほったらかされているのかなと正直思いました」
2016年5月、大島商船で当時1年生だった男子学生が非常階段から飛び降り、自殺しました。この問題をめぐっては今年9月に第三者委員会が最終報告書を提出し、22件のいじめがあったと認定した上で「自殺の原因はいじめにある」と結論付けました。最終報告書を受けた学校は、加害学生らへの退学処分などは行わず、「卒業後も継続的に指導していく」と説明していました。しかし、その後2か月が経過しても学校から遺族に対し、加害学生への対応や教職員の処分について何の説明もなかったということです。そのため遺族は先月、説明の機会を設けるよう学校に申し入れを行い、今月12日に回答書が手渡されました。学校は説明が遅れた理由について「加害学生らは国家試験を控えていたためコンタクトをとることが難しかった」としています。
「本当に一つ一つの対応が本当に遺族に寄り添っているのかなというのが正直ありますので、わたし今日怒り心頭です」
遺族は今後、学校に対し加害学生への指導の進捗や再発防止策の報告を求めていきたいと
しています。
山口県周防大島町の大島商船高専で2016年5月、1年生の男子学生(当時15)が校舎から飛び降りて自殺した問題で、同校の福田勝哉校長は28日会見し、男子学生がいじめられていた可能性があるとの認識を示した。
同校は男子学生の自殺後、同級生らへの聞き取りやアンケートから、17年6月に「いじめはなく、自殺の原因は不明」と結論付けた。遺族は第三者委員会による調査を要求。弁護士や大学院教授による第三者委が6月に調査を始めた。
これに合わせ、4月に赴任した福田校長らが学校の調査結果を調べ直したところ、男子学生が校内で複数回「殺人鬼」と呼ばれていたとの記述に行き当たり、「いじめに該当する可能性がある」と判断を改めた。福田校長はいじめと自殺との因果関係について、第三者委の調査に判断を委ねるとの考えも示した。(藤牧幸一)